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部屋に広がる甘い匂い。


塗「上出来」


冷蔵庫に二種類のケーキをしまって時計を見るとお昼の時間。


塗「何にしよっかな」


昨日買い出しに行ったから基本はなんでもある。


一応卵は避けるとして……。


焼きそばにしよ。


野菜を切って炒めて麺を炒めて。


混ぜ合わせてソース入れたらはい、完成。


焼きそばって楽でいいよなぁ。


塗「いただきます」


うん、上出来。


この後は部屋の飾り付けだけかな。


先に掃除もしないと。


空いた時間は勉強と明日の準備に当てるか。


色々考えながら食べ進める。


何となくつけたテレビにドアップで写った大にぃ。


そういえば、今日って火曜日か。


スタジオでワーワー言ってる大にぃは家で見る大にぃとはどこか違くて、自分の兄であることが信じられない。


まあ、うるささは変わんないけど。


俺は母さんたちが死んでから親戚に預けられた。


当時まだ幼稚園の年長。


母さんたちがいなくなったと思ったら兄ちゃんたちも可愛がっていた竜二もいなくなって、一人になって寂しかった。


俺を養子にとってくれたおばさんたちには感謝してるけど、やっぱり寂しかった。


たまに兄弟で会えることが嬉しくて、それだけを心の支えに生きた。


協調性なんてものは持ち合わせていなくて転校先でも一人だったから。


十三年前、大にぃから電話があって、アイドルとしてデビューすることになったって言われた。


次に会ったのはデビューした後で、外では会いにくいからって大にぃが家に来いって言った。


言われた場所に行ったら今住んでいる家があった。


ここで四人で暮らそう。


その言葉がどれだけ嬉しかったか。


その瞬間の俺はただただ幸せだった。


そのあとの大にぃと颯にぃの頑張りは凄まじかった。


大にぃはあんまり帰ってこなかった。


高校に進学してからの颯にぃが家にいた時は料理してるか勉強してるかのどっちかで、でもほとんど家にはいなかった。


一緒にいるのに一緒にいられないのが寂しくて、俺は竜二を溺愛した。


俺が七年前、俺が中学を卒業した時、大にぃの仕事はどんどん増えて、颯にぃは大学の勉強と研修、バイトの両立に苦労していた。

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名岡颯貴(プロフ) - ?さん» ありがとうございます!とっても励みになります!誠心誠意書かせていただきます! (2020年7月1日 23時) (レス) id: 9fd7fb69f1 (このIDを非表示/違反報告)
- 続き楽しみに待ってます! (2020年7月1日 22時) (レス) id: 5ebe61a63e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:名岡颯貴 | 作成日時:2020年6月28日 16時

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