小指、出して (ページ4)

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「いのちゃん、」

「ほぁ……？」

やばい、寝落ちしそう。
大ちゃんの手、落ち着くなぁ……って考えながら、寝ないように大ちゃんの声に意識を集中させる。

「……約束、覚えてる？」

「やくそく……もちろん、おぼえてる。」

「……そっか。」

大ちゃんの指が、おれの耳たぶをやわやわと撫でる。くすぐったくて首を振ると、大ちゃんの手はまた、おとなしくおれの髪を撫で始めた。

「昨日、だれと飲みいったの？」

「……やまだ、」

「ふーん……なんか最近、仲良いよね。」

「ごめん、怒ってる……？」

拗ねたような声に反応して視線を大ちゃんの方にむければ、ん～……って大ちゃんが気まずげに笑う。
くしゃり、今度は自分の髪の毛をかきまぜて、大ちゃんは天井を仰いだ。

「……怒ってないけど、さぁ。」

「ん、」

「……ちょっと、不安。」

「ふあん……？」

大ちゃんは返事をせず、さらさらとおれの頬を撫でた。そろそろ眠気はピークに達していて、視界も音もゆっくりとぼやけていく。

「…………約束覚えてんなら、他の人のとこなんて行かないでよ。」

眠りに落ちる前にわかったのは、大ちゃんがなぜかいつもより落ち込んでる、ってことだけだった。