天てれ小説〜しあわせの軌跡〜 続編2

復帰　３ ページ5

ホイッスルが鳴り、

試合が始まった。




隼也はスタメンでは登場せず、

ベンチにいた。





ミスや、ゴールが決まらないと、

味方でも野次をとばす人がいた。



みんなで、選手の名前を

リズムに合わせて、大声で応援する。






前半戦、



選手交代はあっても、



隼也は呼ばれなかった。






２−０で、


隼也のチームは、負けていた。






「金子！

休んでねえで仕事しろ！！」



「ギャラリー集めといて、恥だぞ！！」



「ふざけんじゃねーよ！


復帰戦で敗北かよ。」






「まだわかんねーだろ！！


休憩中ぐらい、黙っとけ！！」



のだしんが、近くで野次を飛ばす人に

たまりかねて牙をむいた。



結実は小さく拍手する。




「・・・大丈夫？A」


結実が心配そうに声をかけてくれる。


私は黙ってうなずいた。




後半戦がはじまるまで、


まだ時間があるのに、


緊張しすぎて、



声をだすことを忘れてしまうくらいだった。









ｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰ



後半戦がはじまった。




でも、交代はまだなかった。






開始から１０分・・・・。





「隼也だ！」


隼也が準備をしているのをみて、

のだしんが叫んだ。




すると、観客から声援と拍手がわきはじめた。




心ない野次もあったけど、

それ以上に、声援の方が多い気がした。






そして、




交代で、隼也が入った。






「隼也、頑張れ〜！！」


結実が叫ぶ。




「流れ変えてくれ！！！」


のだしんも叫ぶ。





私は組んだ手に力がはいる。









隼也が入ると、急に流れが変わった。



相手チームも、

隼也の動きが読めず、

戸惑っていた。





そして・・・、



再び隼也にパスがまわると、









！！！！！









・・・・一瞬のことだった。






サッカーゴールには、



ボールが入っていた。









場内は、静まりかえったあと、


大きな声援が沸き起こった。







見事なロングシュートだった。





結実も、のだしんも、私も、


今まで以上の隼也のプレーをみて、



唖然とした。






そのあとも、

隼也にボールが渡ると、


必ず、ゴールを決めた。






さっきまで、

野次を飛ばしていた人も、

おとなしくなって、

みんなと一体になっていた。








・・・・隼也・・。







私は、


彼の姿を、追いながら、


涙が溢れて止まらなかった。




のだしんも結実も、

泣いていた。

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