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秘密 ページ21

さあ、もう少し、というところで生クリームが足りないと言い出した。

おい、それぐらい用意しとけ。

マロンタルトを前にした私は暴言もはきたくなる。




「A、そんなに睨まないでくれ。心配しなくてもマロンタルトは逃げないぞ」




無意識に睨んでいたトレイ先輩に注意される。



『すいません』

「マロンタルトが楽しみなのはありがたいが」

『いい匂いがして、つい…』




「Aって女の子みたいなとこあるよねー」



ケイト先輩が後ろで楽しそうに言った。



『(っっ!)』

「なあにー?そんなに驚いちゃってー。もしかしてほんとに女の子だったりしてー」



マロンタルトを前に素を出しすぎてしまった。

駄目だ、と平静を装う。



「ケイト、ナイトレイブンカレッジは男子校だぞ。女の子が恋しいのは分かるが、矛先は監督生だけにしてやれ」



いや、それはそれで監督生ちゃんの負担が増えてしまうが…

トレイ先輩に助け舟を出された。

一つ、貸しかな。



トレイ先輩が気づいているという保証は今のところない。

ただ単にケイト先輩をあしらっただけだと思いたい。





『僕はれっきとした男ですよ。証拠に脱ぎましょうか?』



私は胸ポケットに忍ばせた学院長から貰った魔法薬をこっそりと取り出す。



「いやいや!冗談だってー」

「そうだぞ、二人とも。それにここは厨房だ。衛生的に、な」



もっともだ。

脱がなくて済んだ。



魔法薬を飲み、男になった身体を見せつけた方が早いとは思ったが、さすがに男の身体だっとしても脱ぐのはいささか羞恥心が残る。

この魔法薬は極力使いたくなかったし…



「さて、二人には片づけを今のうちにしてもらおうかな」

『調理中に片づけも並行して行えるなんて、できた嫁…』




ぼそっと呟いた言葉にトレイ先輩は苦笑する。

私は料理は一通りできるが何分そこまで頭が回らない。

さすが、といったところか。




トレイ先輩のできた嫁姿を横目に生クリームが到着するまでの間、洗物をする。

疲れた後のマロンタルトは格別だろう、と思いを馳せながら。




(待ち遠しい…)

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とまきち(プロフ) - 警察官さん» ご指摘ありがとうございます。確認ミスでした。修正済です。 (2020年4月27日 14時) (レス) id: d35989c5b0 (このIDを非表示/違反報告)
警察官(プロフ) - ピーッ! 今すぐにオリジナルフラグを外しなさい! これ、違反作品ですよ! (2020年4月27日 13時) (レス) id: 5b2b5dccb5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:とまきち | 作成日時:2020年4月16日 14時

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