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入学 ページ1

「私、優しいので」



そう言われて手渡されたのは性別を変える魔法薬。

学園長はいつもの仮面を被ったそのなんとも表情の読み取れない面持ちでいる。

そして、いつものように声だけは高ぶっている。




『学園長、私これいらないです。』

「えっ」

『副作用きついんで』

「そんな無下にしなくても」

『じゃあ、持っておきます、一応』



学園長の手から魔法薬を奪い取り、学園長室をあとにする。




『では、急いでいるので』





こんな気を遣うところ、さっさとおさらばしたい、というのが本音である。

魔法薬は何かあったときに使おうと胸ポケットへ忍ばせる。



試験生として入学したものの、女性と知られて混乱が起きるようなら即退学と聞いている。

これは忠告だ。


そんな面倒な試験ならやらなくてもいいのに…と思いつつもそんな条件でも入学したいと言ったのは実は私だ。

正確には、入学しなければならない、と言った方がいいかもしれない。





『戻りましたー』



大きな声で扉を叩き、だれが答えてくれるわけでもない寮へ入る。



「A、おかえり」




既に名前を憶えられているということと、返事が返ってきたことに驚きながら声の主の方を向く。



『寮長、ただいま戻りました』

「ああ、おかえり。大事なかったかい?」



うちの寮長はどうやら学園長に呼ばれたことを心配して待っていてくれたようだ。

温かい寮だなあ…と他人事のように思う。



『はい、ただの世間話でした』



そうか、と寮長はほっとしたように胸をおろす。

どうやら入学式でトラブルもあったらしく、寮長の気苦労も計り知れない。

しかしこれから起きることを考えればこのくらい序の口だろう。

私の役割は既に決まっている。

それは追々、わかることだ。






「オフ・ウィズ・ユアヘッド」



さあ、始まった。寮長の暴走だ。

私の仕事。これを阻止する人間がほかにいるのだろうか。

阻止をしたとしても、寮の平和は保たれるのだろうか。

ただ、そんなことは私の知ったことではないのだ。




(私はその時に動くだけ)

疲労困憊→



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とまきち(プロフ) - 警察官さん» ご指摘ありがとうございます。確認ミスでした。修正済です。 (2020年4月27日 14時) (レス) id: d35989c5b0 (このIDを非表示/違反報告)
警察官(プロフ) - ピーッ! 今すぐにオリジナルフラグを外しなさい! これ、違反作品ですよ! (2020年4月27日 13時) (レス) id: 5b2b5dccb5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:とまきち | 作成日時:2020年4月16日 14時

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