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嫌い10 ページ10

そう言って歩を進めだした試験官を、私達は追いかける。




こんな霧の中、迷いでもしたら堪ったもんではない。




みんながみんな表情を険しくして走っていた。








「またマラソンかよっ」

『…地下道より疲れるね』

「湿原だから、地面が泥濘んでいて疲れやすいんだ」








足元を見ればぐちゃぐちゃと泥を踏みしめている自分の足が目に映る。



あー…結構気に入っていた靴なのになぁ、なんて事を考えながら前を見た。







そう言えば、キルア達はどうしているだろう…ふと頭に浮かんだ2人の姿に、Aは辺りを見回す。






だが、近くには居なかった。


どうやら自分たちより先を走っているみたいだ。








「ねぇキルア」

「ん?何だよ」

「さっきの女の人、いいの?」








ゴンは後ろを向きながらキルアに話しかける。



出会った時に一緒にいたAの事を心配しているようだ。








「そういや…Aの事ほったらかしにしちまってた…大丈夫かな」

「あの人、キルアの事探してるんじゃない?」








後ろを振り返ればAはキョロキョロと辺りを見回している。





この中に知り合いはキルアしかいないのだから、確実に探している対象は自分だろう。






そう思えばキルアの心の中は、彼女への愛しさが溢れんばかりに零れ落ちる。









「オレ、ちょっと行ってくる」









だが、そう言ったのは、キルアではなくゴンだった。








…は?と思った時には、素早いゴンはあっという間にAの所へ辿り着いていた。









「ねぇお姉さん!さっきキルアと一緒にいたでしょ?」

『えっと…』

「オレ、ゴン!お姉さんは?」

『私、Aっていうの…その、よろしくね』

「うん!よろしく!」









ニカッと笑ったゴンに、Aまでもが笑顔になる。


不思議な男の子だなぁ…そう思った。









「ねぇクラピカ!Aさんのことかりていいかな?」

『えっ』

「キルアも心配してたみたいだし…お願い!ねっ?」

「別にいいぞ。ゴンと一緒なら、私も心配はない」

「わあーい!クラピカありがとう!」








トントン拍子で進んでいった話に追い付けないでいると、ゴンがAの手をぎゅっと握る。









「行こう!」そう言われれば『うん!』と、そう言い返すしかなかった。

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作者名:アリエス | 作成日時:2018年12月23日 23時

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