嫌い9 ページ9
確実に目が合って、そして嫌な笑みを浮かべられた。
背筋が凍るような感覚に、身震いしながら私はその後も黙々と走った。
「…顔色が悪いようだが、大丈夫か?」
『え、あ…』
階段を登る途中、中性的な顔で金髪の人が声を掛けてきた。
そんなに顔色悪かったかな…?呑気にそんな事を考えていると、その反対側から背の高い男の人が顔を覗き込んでいた。
「確かに悪いな…大丈夫か?」
『あっあの…大丈夫、です』
「俺は医者志望なんだ!どこか悪いとこがあるなら遠慮なく言ってくれよ!」
『へぇ…お医者さんに…凄いですね!』
それから、この2人とは仲良くなった。
金髪の人は、クラピカ。
黒髪長身の人は、レオリオと言うらしい。
それぞれ目標を持ってハンター試験を受けているみたいで、何もない私がここに居ることが少し申し訳なく思った。
ーーーー階段を登り上がれば、暗い地下から地上に出ることができた。
何時間も暗いところを走っていたから、地上に出ただけで安心してしまう。
だが、まだサトツさんの試験は終わっていないようだ。
『ねぇ、クラピカ…これから私も一緒に居ていいかな?』
「あぁ、勿論、私もそのつもりだ」
『えっ本当!?』
「あ、あぁ…」
霧で包まれた景色を眺めるだけで、不安を煽られる。
しかも、つい先刻、要注意人物のヒソカと目が合ったのだ…怖すぎる。
だから、1人で行動するより、誰かと一緒に居た方が安心する気がした。
それに、此処には色々な生物がいるらしい。
つい先程は、別の試験官だと言う人が出てきていた。
最後はヒソカにやられてしまったが…
「私を偽物扱いして受験者を混乱させ、何人か連れ去ろうとしたのでしょうね」
「油断も隙もねぇな」
「…うん」
「こうした命懸けの騙し合いが日夜行われているのです…現に何人か騙されかけて私を疑ったんじゃありませんか?」
その言葉にレオリオとハンゾーは分かりやすく頭を掻いて誤魔化している。
そんな顔していたら、その通りですと言っているようなものだ。
「いいですか?この先ヌメーレ湿原の中は霧が深く一度この私を見失えば二次試験会場には辿り着けないでしょう」
『…』
ーーーーご注意を…では、参りますよ
着いてきてください
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作者名:アリエス | 作成日時:2018年12月23日 23時