act.02★はー、可愛い。 ページ4
．
仕事が終わったその足で、マンションから一番近くのコンビニに立ち寄る。アイスでも買おうかと思ってアイスストッカーを覗けば、伸びてきた白い手が視界に入った。
手に取ったそれがまさかのコンソメ味で、どんなやつが買うんだよと思い見たけどその顔はマスクとパーカーのフードに隠れててよく分からず。
彼女も家が近所なんだろうか、なんて。パーカーにスウェット生地のショートパンツからは真っ白な足がひょろりと伸びてて、筋肉ひとつ無さそうな、けれど形が綺麗な細っこい足につい目がいった。
こんな時間に、こんな都会で、そんな格好、絶対にあぶねーだろとか思ったけれどわざわざそれを言うことも無い。
「お会計158円です」
「……、…っ？！」
俺もアイスを持ってその後ろに並んだけれど、どうやら現金どころかスマホも持っていないらしい。
分かりやすくポケットを触る姿を見ながらもたつく会計に、コンビニの店員なんで一人しか出てこねーの、と思ったけれどまあ、…うん、きっれーな足も拝ませて貰ったし、誰もいねーし、急かすのも感じ悪いしな、と自分のアイスを出す。
「会計一緒で」
「「えっ？」」
店員とパーカーの彼女が声を揃えてこっちを見た。
「いやっ、大丈夫なんで！」
「いいっすよアイス一個くらい。あ、電子で」
言われるがまま会計をする店員は「ありがとうございました〜」と言った。
一歩後ろから、「すみません…お金お返しします…」なんて小さな声が聞こえて、「そんくらい返して貰わなくて大丈夫っすよ〜」と当たり障りのない返事をする。
タイミングが良くて親切にしただけで、大金を貸したわけでもあるまいし、下手に接点を持つつもりはなかった。
だから、それだけで終わると思ったのに。
道中、おそらくそう離れてはいないだろう距離で、後ろからアイスの袋を開ける音が聞こえる。
サンダルの踵を僅かに擦るような足の運びと、ゆっくりとした歩調、たまたま同じルートなのかもしれないと初めは気にしていなかったけれど、いよいよマンションが見えてきた為、意を決した。
「あの、…気付いてて着いてきてます？」
「え？」
足を止めて、なるべく語尾が強くならないようにと努めて振り返る。
上を向きながら歩いてた彼女はワンテンポ遅れてこっちを見るや否や、驚くのは自分の方だった。
「えっ？！」
マスクを下げ、アイスを食ってる彼女の表情は薄暗い街頭でも見えた。
．
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 99人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ミヤ(プロフ) - MiAさん» 初めまして！以前から来て下さっていたようで…ありがとうございます\(^^)/ そうですね、さりげなくメルト世界線です笑 どうしてもそこら辺にいる男子っぽいお話が書きたい衝動に駆られてしまいました(^^;)笑 ゆっるいお話になるかと思いますが、楽しんで頂けると幸い！ (7月24日 20時) (
レス) id: bdfabfb18a (このIDを非表示/違反報告)
MiA(プロフ) - これメルトメロウの世界線ですか！！！前作からずっと大好きです！！！ビーファのこういう系統見たことがなかったのでとてもソワソワ、わくわくしてしながら読んでいます！本人設定だけどソウタくんの会話というか思考がふつーの大学生なのが新鮮ですきです🫶 (7月20日 22時) (レス) @page3 id: 83f017b983 (このIDを非表示/違反報告)
ミヤ(プロフ) - 七海さん» 七海さん初めまして！わざわざコメントありがとうございます！以前から来て頂いていたんですね？！嬉しいですー！あら、ソウタくんが推しでしたか(*´ `*)ちょっと見切り発車すぎてどうなるか分かりませんが…またゆるっと暇つぶしに読んで頂けると幸いです！ (7月20日 19時) (レス) id: bdfabfb18a (このIDを非表示/違反報告)
ミヤ(プロフ) - れいさん» 着地点も見えぬまま、アホっぽい話しが書きたいばかりに衝動的に始めてしまいました…。レオと迷いに迷ったんですけどね！今回ソウチンを抜擢しました。正解でありますように…笑 ムラっけある更新になりますが気長にお付き合い頂けると幸いです(*´ `*) (7月20日 19時) (レス) id: bdfabfb18a (このIDを非表示/違反報告)
七海 - 初めまして！！！前から来させてもらったいましたが、ソウちゃんがメインのお話しに大喜びしています！ミヤさんの書かれるお話にはドキドキさせられっぱなしで本当に大好きなので、更新楽しみに待ってます〜♡♡ (7月20日 11時) (レス) @page3 id: 39f0e50071 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ミヤ | 作成日時：2023年7月10日 22時
