大ちゃんは、俺のだから。-second-【ar×ym】 (ページ45)

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「ダメ？」

ym 「いや、別にいいけど…」

そして山田は、俺に猫のキーホルダーをくれた

俺の手の中には、山田からの贈り物がある。

〝山田からのプレゼント〟

不思議だ。

さっきまで薮くんと電話してた山田に

モヤモヤしてたのが、嘘みたいに消えていく。

ym 「ほんとに、こんなんでいいの？」

「うん！これがいい！」

俺は受け取ったそれを、早速スマホにつけた。

ぶらさがった猫は、

なんだかゆるーい雰囲気で

ドーナツを食べている。

今の山田と俺みたいに、半分のドーナツを。

なんだかそれが可愛くて、思わずにやけた。

ym 「大ちゃんって、センス無いね」

「なんとでも言え」

だって山田が貯めたポイントでもらった

キーホルダーなんて、なかなか手に入らない。

世界にたった、1つだけだ。

ym 「ほら、手」

お互いドームを食べ終えると、

山田がそう言って手を差し出してきた。

「…？」

ym 「迷子になられたら困るから、早く」

「別に、ならねぇけど」

ym 「そばにいてって言ったでしょ」

強引に、ギュッと手を繋がれる。

山田の大きな手が、

いとも簡単に俺の手を包み込んだ。

胸がじんわりと温かくなる。

…せめて今だけは、そばにいさせて。

ううん、嘘。

もうちょっと、そばにいたい。

…もしかして、もしかするとこれは…

〝独占欲〟ってやつかもしれない。

「なぁ、山田」

ym 「ん？」

「またドーナツ屋さん、行こうな」

約束の1ヶ月が来て…

行きつく先がどうなろうと、また二人で。

ym 「うん。いつでも連れてってあげる」

「じゃあ、約束」

そう言うと、山田はふっと優しく笑った。

ym 「大ちゃんって結構、ドーナツ好きなんだね」

…山田がドーナツ好きだからだよ。

そう思いながら、山田の笑顔を見ると、

やっぱり胸がドキドキした。

パーカーのポケットから出ている

猫のキーホルダーは、

楽しそうにユラユラと揺れていた━━━━━