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「…え？」
予想外の言葉に、俺はびっくりして
呆然としてしまった。
山田はプイッと前を向き、
何もなかったかのように運転している。
横から見る山田の顔は綺麗で、
綺麗なダークブラウンの髪が揺れていた。
「…じょ、冗談だろ？」
俺の声は、動揺のあまり震えていて。
山田が今、どんな表情をしているか
全然分からない。
なぁ、なんとか言えよ…。
「………」
数秒の沈黙のあとだった。
ym 「うん、冗談だよ」
どこか諦めを含んだような声で、
山田がそう言ったのは。
…バカじゃねぇの？
なんでそんな、寂しそうな声で言うんだ。
もっと笑い飛ばすくらい、
バカにして言ってくれなきゃ、困る。
じゃなきゃ、俺がいつもみたいに、
ふざけるなって言い返せないじゃん。
でも、そらは俺も同じか。
声を震わせたりして、みっともない。
俺が先に笑い飛ばして言えてたら、
こんな動揺しなくて済んだのに。
風だけが、静かに吹き抜ける。
ドキドキと騒いでいる体の熱を、
冷ましていくように。
…なぁ、山田。
お前のそういうの、思わせ振りって言うんだよ
俺ばっかりドキドキして、ムカつく。
だから、�狆蘆未性� って言った山田に、
ちょっとイジワルしてやる。
「…山田、さっき部屋で俺にキスしようとしたよな？」
ここぞとばかりに、疑問を投げかけた。
その瞬間、動揺した山田がバランスを崩して、
車は不安定になる。
「ちょ、ちょっと！ちゃんと運転しろよ！」
ym 「ばっ！大ちゃんが変なこと言うからだろ！？」
…だって。
「…本当にそう思ったんだよ…」
…お願いだから、教えろよ。
山田はどうして、俺を助けてくれたんだよ
「どうして…キスしようとしたんだよ？」
ただ、答えが欲しかった。
モヤが晴れないこの胸を、
照らしてくれる夕日みたいな答えが━━
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作者名：ありちゃん | 作成日時：2020年2月11日 13時
