・ ページ3
伊沢side
「お疲れさん」
急に背後から聞こえてきた声に振り返る。みんなもうとっくに帰ったと思っていた。
「須貝さん、まだいたんですか」
「あー、ちょっと、気になって調べ物してたら時間たってた」
「あぁ、お疲れ様です」
どうやら別室で調べ物をしていたらしい。気になったことはとことん調べる研究者気質なところは彼の長所の一つだ。
「……須貝さん」
「んー？」
「頭痛薬とか、持ってたりしません？」
こんなことを言うつもりはなかったのに、無意識に弱いところが出てしまった。須貝さんと二人だと、つい兄を慕うように甘えたくなってしまう。
「頭痛薬？なに、あなた体調悪いの」
「いや、そんなことないですよ。ちょっと頭痛いくらいで。たぶんパソコンの見過ぎなんで、全然平気です」
心配をかけないように明るく伝えたつもりだったが、うまく笑えていなかったらしく、逆に心配されてしまった。
「あなたの平気は信用ならんのよ。ほい、頭痛薬。眠くなるやつだからそれ飲んで寝てきな」
須貝さんから渡された頭痛薬。あっという間に水が注がれた紙コップも届けられる。ありがとうございます、とお礼を言って受け取った。
「って、飲まんのかい」
もらった薬を服用せず放置したままの俺を見て、あきれたように笑ってツッコむ須貝さん。
「今寝ると仕事が終わらないんですよ。あとでちゃんと飲みます」
「そうやって仕事仕事って……まぁ仕方ないのもわかってるけど！でもあなた最近ちゃんと寝てないんでしょ」
「いつものことですよ」
「そんなに堂々と言うことじゃありません。ほらほら、須貝さんの目は誤魔化せませんよー」
隈ひどいよ、って須貝さんに顔を覗き込まれる。心配そうなナイスガイの顔を見ると、ついその優しさに甘えたくなってしまう。
「……わかりました、」
須貝さんの押しに負けて、水と一緒に錠剤を流し込んでソファーに横になる。さっきまでは絶対に寝るつもりなんてなかったのに、自分でも不思議なくらい自然に瞼が下りてきた。
「おやすみ」
須貝さんのその声がかすかに届いたのを最後に、俺は何日かぶりに深い眠りについた。 end
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 459人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「QuizKnock」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
雪月花 - すいません、どうしても分かんないです。色々有名そうなのを入れてみて全部出し尽くしちゃったんです。ヒントとか貰ったり出来ませんか？ (6月18日 20時) (
レス) id: a76a285c93 (このIDを非表示/違反報告)
NaHo(プロフ) - あの手この手で色々調べてみたんですが全くわからないので教えてくださいお願いします🙇🏻♀️ (2023年2月15日 23時) (レス) id: 45b193f19a (このIDを非表示/違反報告)
あくと(プロフ) - 頑張って考えたんですが続編のパスワードが分からなくて...ヒントなど頂けたりしませんか？お忙しいと思いますが返信頂けると嬉しいです (2022年3月11日 18時) (レス) id: ab17c965b8 (このIDを非表示/違反報告)
White - すごくおもしろくて2も読んでみたいな、と思ったのですが、ヒントをみて、思いつく数字を片っ端から入れても、どんなに調べても分からなくて、もう少しヒントを頂けませんか？ (2021年10月31日 20時) (レス) id: 276347c53c (このIDを非表示/違反報告)
s.u - 私は、有名な4桁数字と調べたら出て来て、あ〜これか〜！ってなりました（今さらすみません） (2021年9月29日 20時) (レス) id: 4835169485 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：泉怜 | 作成日時：2019年9月21日 23時
