QK看病日記

ホットミルク-kwmr- ページ4

福良side
今日分の仕事が終わらず、結局23時前まで仕事をしていた。今から帰るのも面倒だから、今日はオフィスに泊まっていこう。そう思っているのは河村も同じらしく、終電の時間を気にしている様子はなかった。

「河村まだ寝ないの？」

シャワーを浴びて戻ると、まだキーボードを叩く音が響いていた。

「僕はまだ寝られない」

「そうなの？」

「うん。福良先に寝ていいよ」

今日は珍しく伊沢がいないから、オフィスには二人だけだ。QuizKnockの一番の仕事人間が帰ったと思ったら、ここにもいた。まぁオフィスは仕事をするところだから、この風景は当たり前なんだけど。

「電気ついてるの気になるなら、別室で作業するけど」

「あー、いや、そういうわけじゃないよ」

何日かオフィスに来ていなかったから、その分の仕事が溜まっているんだろう。でも、こうやって何もかも犠牲にしてやり遂げようとして、必要以上に自分に負担をかけてしまうのが、河村の悪い癖だ。

「何が残ってるの？」

「今度撮る動画の台本と、この書類がまだ。この前話してた企画案もまとまってないし」

「全部急ぎじゃないから明日でも大丈夫じゃない？」

「僕は今日終わらせたい」

河村の気持ちがわからないわけではない。俺だってノルマはその日のうちに達成したいし、仕事が終わってないままだと不安になって結局眠れないこともあるし。

「でも、そろそろ集中力も切れてくるじゃん。何時間か寝るだけでもオールよりいいと思うけど」

ていうか体調も良くないでしょ、と付け加えると、一瞬キーボードを叩く音がやんだ。図星だったらしい。

「とりあえず一旦休憩しなよ。目も疲れてくるし。飲み物なんか持ってこようか？」

「ブラックコーヒー」

「それ、オールする気満々じゃん」

「さっきから僕はそのつもり」

画面から目を離さずに淡々と答える河村。無理してやるのが最善じゃないってことくらい、自分でもわかっているんでしょ……？

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