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伊沢side
「なんかあった?……ちょ、山本!?」
ドアを開けてまず飛び込んできたのは、ソファーにぐったりともたれかかっている山本の姿。びっくりして駆け寄る。
「何があったんですか!、」
「こうちゃん落ち着いて」
「でもっ、」
福良さんによると、撮影の準備を手伝って欲しくて声をかけたあと、立ち上がった瞬間に倒れたらしい。
「頭ぶつけたりしてない?」
「幸い倒れ込んだ場所がソファーだったからそれは大丈夫だと思う」
「うわ、あっつ、」
須貝さんが山本のおでこに手を当ててそう言った。たしかに、倒れたのも顔が真っ赤なのも熱があるなら納得できる。
「体温計持ってきた」
河村さんが持ってきてくれた体温計で体温を測ると、予想をはるかに超える高熱だった。
「……ついさっき急に出た熱じゃないよね」
「来た時こんなに具合悪そうだった?」
「すぐ撮影始めちゃったから……」
こんなに熱があって、自覚がなかったなんてことはないだろう。もっと気にかけていれば、と今更ながら思った。
「撮影は出演メンバー替えてでもやっちゃわないと、」
「うん、わかってます」
今日撮る予定の分は撮ってしまわないと、そのあとの編集や投稿の予定も変わってしまうから、メンバーを急遽変更して、撮影を続けることにした。
「あっちに布団敷いたから、そこに寝かせておくね」
「僕次の動画出ないから様子見てるよ」
撮影中は、動画に出演しないメンバーで交代しながら山本の様子を見ていた。楽しい撮影のはずなのに、画面外の雰囲気は暗かった。
山本side
「ん……」
瞼を上げると、蛍光灯の光が飛び込んできた。
「起きた?」
ちょっとだけ京都弁が混ざったようなイントネーション。この声は須貝さんだ。
「ここ……僕、」
そう言うと、須貝さんが怪訝そうな顔をした。
「え、ちょっと、あなた自分の名前わかんないとか言わんよね、」
「……やまもと、です」
「よかったー、びっくりしたわ」
どうやら、どうして僕はここにいるんだっけ、という意味で発した言葉を、ここはどこ?僕は誰?という意味だと勘違いされてしまったらしい。思わず笑いが漏れたが、須貝さんは笑ってくれなかった。
「もうそろそろ撮影終わるはずだから、みんな戻ってきたらまた起こすから寝てなさい」
撮影……そっか、僕、撮影の準備してて……ふわふわとしてうまく働かない頭の中で、みんなに迷惑をかけていることだけはちゃんとわかっていた。
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雪月花 - すいません、どうしても分かんないです。色々有名そうなのを入れてみて全部出し尽くしちゃったんです。ヒントとか貰ったり出来ませんか? (6月18日 20時) (レス) id: a76a285c93 (このIDを非表示/違反報告)
NaHo(プロフ) - あの手この手で色々調べてみたんですが全くわからないので教えてくださいお願いします🙇🏻♀️ (2023年2月15日 23時) (レス) id: 45b193f19a (このIDを非表示/違反報告)
あくと(プロフ) - 頑張って考えたんですが続編のパスワードが分からなくて...ヒントなど頂けたりしませんか?お忙しいと思いますが返信頂けると嬉しいです (2022年3月11日 18時) (レス) id: ab17c965b8 (このIDを非表示/違反報告)
White - すごくおもしろくて2も読んでみたいな、と思ったのですが、ヒントをみて、思いつく数字を片っ端から入れても、どんなに調べても分からなくて、もう少しヒントを頂けませんか? (2021年10月31日 20時) (レス) id: 276347c53c (このIDを非表示/違反報告)
s.u - 私は、有名な4桁数字と調べたら出て来て、あ〜これか〜!ってなりました(今さらすみません) (2021年9月29日 20時) (レス) id: 4835169485 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:泉怜 | 作成日時:2019年9月21日 23時