夢小説の矛盾にツッコミを入れてみよう

ご心配もほどほどに ページ14

「好きな子を一所懸命追いかける」というのが悪女やミーハーちゃんの特徴だとすると、
「好きでもないけど熱心に追いかけられる」というのが夢主の特徴になります。

恋愛において、追う者と追われるもの、どちらが有利かというと、
「惚れた弱み」といわれるように、駆け引き上は圧倒的に追われる側が有利なんです。

これをさっきの特徴に組み込むと、
・努力して相手を追いかけるも、不利な状況にいる悪女やミーハーちゃん
・特に何もしていないけれど、有利な状況にいる夢主

という図式が出来上がります。なんだか夢主がズルく見えてきますね。
これを言い換えると「特別」という語になります。「えこひいき」と言っても良いでしょう。
初めから最強設定の夢主に対して反感を覚える人たちは、
恐らくこのような夢主の特別扱いを敏感に嗅ぎ取ったのではないでしょうか。


で、その結果、そんな特別扱いから逃れ出ようとする夢主も生み出されました。
「私は平凡でいたいの！ お願いだから目をつけないで！」
とイケメンに遭遇するのを極端に避ける夢主です。
ミーハーではありませんが、相手キャラと関わった場合、
周囲からどう見られるのかの自覚がある夢主ですね。

ですがこの夢主も、残念ながら「特別扱い」から逃れられない運命です。
逃げたがるのはポーズだけ、最終的には結局相手キャラと関わる羽目になります。
これで関わりが絶たれたらお話にならない、というメタ事情はありますが、
この夢主もなかなか反感を買っていたりします。

おそらく書き手としては、
「相手キャラに関わろうとしない、謙虚な子」という設定を施したつもりだったのでしょう。
ですが致命的なミスがありました。

それは、「一回でも関わったら、確実にその後もずーっと目を付けられてしまう！」という、
根拠のよくわからない自信です。
一回だけ話して、それでおしまい。
なんてことかもしれないのに、今後ずっと付き合いが続くかのように断定しています。
これはこれで、自意識過剰じゃないのか？ というツッコミが聞こえてきそうですね。
そして関わることを危惧していた割に、関わった後の周囲へのフォローは無し。
言っている事とやっている事が合致していませんね。

「注目されたいという願いほどありふれた願いはない」
とはシェイクスピアの名言ですが、逆に注目されたくないと願うのは、
自分が既に「平凡な人間ではない」という自覚のある者だけだということを、
しっかり覚えておきましょう。

発言内容は考えよう→←報われぬミーハー2

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す