兄さん攻略法3

朔間凛月誕生祭2 ページ11

樹side


「今日渡せてよかった。」


私は先ほど凛月くんに誕生日プレゼントをおいてきて、ガーデンテラスで一休み。


「本当に間に合った。」


本当は今日の朝に渡す予定だったのだが、昨日の夜気に入らず作り直していたのだ。


「凛月くん誕生日プレゼントたくさんもらってたな。」


凛月くんはアイドルだからこそ人気者で、学園でも有名人。


プレゼントなんて有り余るほどもらっているだろう。


私にできた初めての友達。


その友達のお誕生日。



「できれば直接『おめでとう』って言いたかったな。」








「じゃあ、言ってくれればよかったじゃん。」


え？


「凛月くん？」


私が後ろを振り返ると、凛月くんが珍しく息を上げていた。


「本当樹って不器用だよね。」


「凛月くんなんで？」


「なんでって、樹ばかなの？」


「ば、ばか？！」


何故だろうか？そんなことを言われることはしてない気がするけど。


「はぁ、樹探すのに疲れたから膝枕して。」


「あ、うんごめんね探させて。どうぞ。」


私がスカートを整えると凛月くんはすぐさま頭をのせた。


「ねぇ樹なんで直接渡してくれなかったの？渡す機会なんていくらでもあったでしょ？」


「えっとね。実は結構作るのに時間かかっちゃって。」


えへへと笑ってごまかす。


「え？樹の手作りなの？」


「え？うんそうだけど。」


「ふーん。そっか。」


へ？


凛月くんどうしたのだろうか。


「ご、ごめんね。直接渡せなくて。寝てたから起こすの悪いと思って。」


「はぁ〜〜〜〜」


そういうと、凛月くんは大きなため息をついた。


「え？え？なんで？」


「本当に樹って馬鹿なの？」


「うう。」


また馬鹿って言われてしまった。


「俺、今日誕生日なんだよ。」


「うん。」


「俺的には直接言ってもらいたいんだけど？」


凛月くんは起き上がって私を抱きしめた。


「え、ええ凛月くん？」


「ねぇ、樹。俺にいうことは？」


え、あ！


「誕生日おめでとうございます。凛月くん。生まれてきてくれてありがとう。」


「ふふ、ありがとう、樹。」







Happy Birthday 朔間凛月




＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊



「これ手作りってすごすぎでしょ樹。」


家に帰って開けるととても触り心地の良いパジャマが入っていたとさ。


「zzzz」


そしてその日はいつもより安眠でき、翌日凛月を起こすのが大変だった真緒氏であった。

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