続・確信犯【甘め】 ページ5
「先生が言うと別ベクトルの意味になっちゃいますから!」
するりと自然にこの言葉が出てしまった。これを聞いた先生の動きが一瞬止まったかに見えたが、気付けば不敵な笑み--というよりニヤニヤしている。
「A。君は、キスをする部位にそれぞれ意味があるのを知ってるかい?」
「キスって恋人同士がするアレですか?」
「うん、それそれ。で、知ってる?」
私の答えは、「いいえ」だ。厳密に言えば唇でする場合の意味を知ってる位だ。その他の部位について考えた事もなかった。
「じゃ、今日はそれについて勉強しよう。なに、本来行うべき補習は必ずやるから安心して」
私的には今から補習をして欲しいのだが先生の手前、渋々ではあるが受け入れる事にした。
同意を確認した先生は私を軽々と持ち上げ教卓に座らせる。これから一体なにをするというのだろう。
「まずは基本的な所、『頬』から。相手に対する親愛の情を意味を持っていて、挨拶の一つとして海外で広く使われている。じゃ、実践といこうか」
先生はそういうと私の左頬にキスをする。慣れない事をするものだから身体が強張る。
これが海外の挨拶なのかと感心してしまった。自分には到底できないし、仮にできたとしても一度きりで止めてしまう。
(挨拶とはいえ、こんなにも体力と精神を使うのか……)
「そこまで緊張することはないよ。もっと気楽にいこう」
「寧ろ緊張するんですが?!」
心臓が少し五月蠅く鳴っている。先生はというと、私の心情など露知らず話を進めていく。
それから友人や家族に使えるものを一つ一つ丁寧に教えてくれた。
しかし、授業とはいえ先生にキスをされてる訳で、その事実が勝ってるせいで部位ごとの意味なんて頭に入る訳がない。
霞がかかった様に頭がぼんやりとして思考が上手く働かない。
この先をもっと知りたいと堕ちていきたいと思う自分がいる。けれどこれ以上は踏み入ってはいけないと細糸の理性が私の本能をせき止めている。
僅かな理性を奮い立たせ私はゆっくりと口を開いた。
「せ、んせ……これ、以上は、もちませ、ん」
途切れ途切れながらも自分の言葉に出した。精一杯の思いが先生に伝わったのだろう、ゆっくりと身体が離れていく。解放される安堵感から全身の力が抜け私は完全に油断していた。
気付けば私の視界には天井と、目隠しを外した先生の顔が至近距離にある。
「せん、せ……?」
「……流石にそれはズルいよ、A」
終・確信犯【糖度高め】→←気持ち【前半:嫉妬・後半:甘め】※五条視点
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作者名:弓兵 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/archer0/
作成日時:2020年10月14日 23時