終・癒し癒され【ほのぼの】 ページ27
「先生、満足しましたか?」
私が聞くと、「う〜ん」と煮え切らない答えが返ってきた。
(もしかして、先程の褒め方が良くなかったのだろうか?)
色々と思案し口に出してみるものの似たような言葉しか思いつかず、最後の方は頭を撫でるだけになってしまった。
先生もあれから反応をしなくなり無言の状態が続いている。
重い空気に包まれた雰囲気に耐えられず頭を撫でる手が止まり、そこから手を離そうとした時だ。
寸前で手首を掴まれ、先生の顔がグッと近づいてくる。
「もうちょっと、して?」
甘え声でそう言われた。
普段の先生から想像もつかない姿を見てしまったからだろう。
カチリと私の中で秘められたスイッチが起動する音がした。
こうなったら先生にはとことん癒されて貰うしかない。そう決意し、私はあることを思いついた。
手首を掴む手を放して貰い体勢を整える。
「先生、ここに頭乗せて下さい」
「な、何するの?」
「いいから」と半ば強引に先生の腕を引っ張り私の膝上に頭を乗せさせる。
傍から見れば今の状況はこうだ。
『五条先生が
それに加えて頭を撫でられている。
怪しい関係だと思うかもしれないが私はただ先生に依頼され、それを遂行しているに過ぎない。
もっと言えば、更なる癒しを求めてきたのは彼の方だ。
だから、私はその願いを叶えるために考えた結果がこれだ。
「先生、どうですか?」
「……駄目かも……破壊力が、凄すぎる……」
先生の耳がほんのりと赤くなっている。
滅多にみられない先生の反応に私は悦を感じたのだろう。少しだけ、彼に意地悪をしたくなってしまった。
好奇心で先生の耳に息を吹きかける。
「ひゃっ?!」
先生の身体がビクンと跳ねたかと思えば、すぐさま彼は耳を塞いだ。
「そ、そういうのはいいから! 頭撫でるだけでいいから!」
みるみる顔が赤くなる先生の反応が堪らなく面白くて私の悪戯心に拍車をかける。
「そうですね。ですが、今は貴方が癒される番なんですから。そう耳を塞がずに、そのまま私に委ねて下さい」
「ね?」と先生の耳元で囁く。
それから暫く先生は大人しく私に頭を撫でられ、事実上『私は最強に勝った』。
後日先生から、「女の子があんな言葉を言っちゃいけません!」と叱られたのは言うまでもない。
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作者名:弓兵 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/archer0/
作成日時:2020年10月14日 23時