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癒し癒され【ほのぼの】 ページ26

ソファで本を読んでいた時のことだ。後ろから覗き込むように先生の顔が出てきた。


「A〜、頭撫でて〜。そして僕を癒して〜」


「どうしたんですか急に。普通に怖いんですが……」


そういう趣向に目覚めたのかと私は一瞬疑いの目を向けると、「それはない」とでも言うような笑いを返してきた。


「ただ単に頭を撫でるだけでいいんだ。簡単でしょ?」


たしかに頭を撫でること自体は簡単だ。ただ、教師が生徒に対して依頼していいものなのかと疑問に思う。


「ほら、最強な教師といえど僕も人間だからさ。君たちみたいに癒されたいと思うわけさ」


「先生にとっての癒しが頭を撫でて貰うってことなんですか?」


「そゆこと。ぶっちゃけ方法はいくらでもあるんだけど、今はAに癒して貰いたいんだよね」


期待の眼差しを向けられ断るに断れず、とりあえず先生に言われた通りに頭を撫でる。


(先生の髪柔らかい。それに……触り心地がいい)


見た目に反してふわふわした手触りが心地よく手入れが行き届いているのが伺える。


先生はというと完全に緩みきった表情(かお)で鼻歌を歌っているあたり随分と癒されているのが分かる。


「ん〜いいねぇ、これで僕の事を褒めてくれたらいいのになぁ」


「えっ?!」


急に無茶ぶりを言うものだから声が裏返ってしまった。


脳内がパニック状態になっている私をよそに、「はやく〜」と催促する言葉が聞こえる。


ただでさえ混乱しているのに、何を思ったのか目の前の青年はカウントダウンをし始めたのだ。


焦る中、私は考えを巡らせる。


(えっと、たしか私が子どもの時に……)


咄嗟に幼少の頃を思い出し、その記憶を頼りに私は言葉を紡いだ。


「先生、今日も頑張りましたね。偉いですよ。今日はたくさん寝て疲れをとって下さいね」


母が私を褒めるときの優しい口調と言い回しを真似て先生に言った。


今思えば頭を撫でる手つきも母が私にしてくれたものと一緒だった。


(ありがとう、お母さん。貴女がしてくれたことが今ここで活かされています)


そう心の中で母に感謝した。

終・癒し癒され【ほのぼの】→←11月23日ですね【ほのぼの】※【11月22日ですね】の後日談



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設定タグ:呪術廻戦 , 五条悟   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:弓兵 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/archer0/  
作成日時:2020年10月14日 23時

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