私は知りません【ほのぼの】 ページ19
「五条先生の目って綺麗だよな」
虎杖君の唐突な発言にその場にいた全員の動きが止まった。
「アンタ、いきなり何言ってんの?」
「発言の仕方が気持ち悪いぞ。流石の俺も引いたぞ」
野薔薇と伏黒君が冷ややかな目で見つめている。そんな二人の様子に、「そういう意味じゃねぇよ!」と彼は弁明する。
彼の自業自得な部分もあるだろうが、その光景を傍から見ていた私は少しだけ同情した。
(それにしても、先生の目か……)
虎杖君が話題にするまで気にも留めてなかったが、改めて思うと私は先生の目を見たことがない。
先生と古くから付き合いがある伏黒君は言うまでもなく、野薔薇も一度きりではあるが見たことがあるらしい。
そう考えると伏黒君はともかく、転入して間もない二人より長く学園にいる私が彼の素顔を知らないのは違和感がある。
単純に機会に恵まれなかっただけかもしれないが、先生の性格を鑑みると意図的に私に見せないようにしている可能性もある。
つまり、私も先生の目を見たい。
正直に言うと三人が羨ましい。
いま、猛烈に疎外感を感じている。
私も話に混ざりたい。
過去を悔やんでも仕方ない。後日実物を拝見するとして、今はこの場の話題に置いてかれないようにしよう。
「先生の目、どんな感じだった?」
私は三人に聞いてみた。
「すげー綺麗だった。めちゃ日本人離れしてる」
「あの人日本人だよな?」と虎杖君に質問された伏黒君は短く返事をした。
「性格に反して透き通ってたわね」
野薔薇は歯に衣着せぬ物言いで答えた。
「
伏黒君は淡々と、それでいてどこか含みを持たせた答えだった。
三人の視点から見えるものの違いを知ったことで私はより興味を持った。
ふと、虎杖君が何かに気付いた様子で私の方に視線を送ってきた。
「てか気になってたんだけど……A、先生の目見たことないの?」
虎杖君が問いかけてきたものだから、私は正直に、「ない」と答えた。
「「「ないの/かよ?!」」」
普段は我関せずとしている三人が見事にシンクロした瞬間だった。
続・私は知りません【ほのぼの】→←可愛い子【ほのぼの】※モブにナンパされる描写あり
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作者名:弓兵 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/archer0/
作成日時:2020年10月14日 23時