可愛い子【ほのぼの】※モブにナンパされる描写あり ページ18
今、私は五条先生の買い物の手伝いをしているのだが、困ったことにその本人が行方不明になってしまった。
一応先生宛にメッセージは送ってある。
先生が来るまで近くの高層ビルの下で待っていた時だ。
「そこのお姉さん、いま一人?」
歳は私とさほど変わらない青年に声をかけられた。
パッと見たところ毒気のない爽やか系な印象の人だ。
「もし良かったら俺とお茶しない? 君を一目見たときに惚れちゃったんだよね」
(これは……俗に言うナンパ?)
一見、そんな事をする様な人だとは思えなかった。
最近の男性はそういうものなのだろうかと考えていたら、彼がじりじりと距離を詰めてきた。
「近くに雰囲気の良いカフェがあるんだよね。味は保証するからさ」
そう言って彼はスマホを取り出すと頼んでもいないカフェのレビューを見せてきた。
「人を待ってるので結構です」
「じゃあその人が来るまで俺と……」
「A〜おっ待たせ〜」
向こう側からひらひらと手を振る男性がいた。その姿を見て私は安堵した。
「A、この子知り合い?」
「違います」と答えると先生は「そっか」とニコニコ笑いながら青年の方へ近づいた。
「相手が悪かったな、餓鬼」
私も聞いた事のないドスの効いた声だった。「あんな声も出せるんだ」と感心している間に青年の顔がみるみる青くなっていく。
「す、すみませんでしたー!」
情けない声を出して青年はそのまま何処かへと走り去ってしまった。
「先生、安易に人を脅しちゃダメですよ?」
「いやいや〜これ虫除けだから。いやぁ、可愛い子を連れ歩くのって結構大変だね〜」
「私は可愛くないですよ」
私にとっての可愛い子というのは『服を着こなし化粧をしている人』が当てはまる。
いまこの通りを歩いている大抵の女の子達がそれに該当する。
それに引き替え自分は身にまとっているのは制服で化粧なんてしていない。
「違うよ。Aは元から可愛いの。化粧してなくても、着飾ってなくても男が言いよってくるんだからさ」
「はぁ……」
「あ、もしかして僕の言ってること信じてないな?」
私は間髪入れずに「はい」と答えた。
普段の軽々とした口調で言われても信憑性がないのは当然だ。
(まぁ、お世辞だったとしても先生に可愛いと言われたのは嬉しいけど)
この事を口に出したら負けた気がすると思い私は何事も無かった顔で買い物の続きをした。
私は知りません【ほのぼの】→←終・全てなかったことに【得恋】※後半:五条視点
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作者名:弓兵 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/archer0/
作成日時:2020年10月14日 23時