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続・全てなかったことに【切ない】※後半:五条視点 ページ13

「当たって砕けろ、か」


「ま、あくまで私の持論なんだけどね」


野薔薇はペットボトルに入ったお茶を飲み干すとその場から立ち上がった。


「それじゃ、私はもう行くから。あぁ、そうそう。偶にはストレス発散しなよ」


手を振りながら野薔薇は校舎へと戻っていった。


その場に一人残された私は先程の彼女が言った言葉を思い返す。


『最初から見切りつけちゃいけないってこと。何をするにしても、自分の気持ちを言わないことには相手も分かってくれない』


ふつふつと心の奥にしまい込んだものが沸き上がっていく感じがして、それを掻き消すように残りのパンに齧りついた。

____________


彼女とのやりとりから数か月が経った。


相変わらず私と先生の関係は『先生と生徒』のままで進展なんてものはない。


任務をこなす・先生の雑談に付き合っては鍛錬をする……そんな毎日を繰り返している。


しかし、あの日を境に自分の心を制御できなくなっている。


それどころか、あり得たかもしれない未来を頻繁に思い描くようになった。


その事が起因しているのか最近見る夢に先生が出てくる始末だ。


先生の姿が目に入っただけで本当のことを言ってしまいそうになる。


『初めから想いなんて抱いてなかった』


そう自分にかけた呪いが消えかかろうとしている。


忘れられると思ったのに。


自己満足で自己完結のままで全てなかったことにできていたのに。






______五条視点______


最近、Aの様子がおかしい……というより元に戻ろうとしている節がある。


関係性に変化があったわけでもない。


ただ、『先生』と呼ぶ声とその目に躊躇いが出始めている。


僕を拒んでいた見えない頑丈な壁が脆くなっていっているようにも感じ取れる。


消え去ってしまったはずの『色』が少しずつ本来の彼女を彩り始めているのだ。


(もしかしたら……)


どう転がるかは分からない。


だとしても、この機会を逃すわけにはいかない。


今度こそ、彼女を____________。

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設定タグ:呪術廻戦 , 五条悟   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:弓兵 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/archer0/  
作成日時:2020年10月14日 23時

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