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智「…A」
A「、」
突然名前を呼ばれたことにびっくりして反射的に顔を上げると、首を傾げてこっちを見てる智くんと目があった。
智「…Aが嫌なんでしょ？」
A「、え…」
智「軽いから軽蔑してんでしょ？」
A「…」
…それは…そう、なんだけど…
でもそれよりも、私の中で“智くんが気になる”って気持ちが大きくなってた。
好き…とかは分かんないけど、…気になる…
これでお別れが、やだ…
智「…好きな子には一途だよ？」
A「…」
智「好きな人がいないときは、ああいう子もいいかなって話」
A「…」
智「好きな人がいるときは、他見えねぇもん、おれ」
A「…」
…そっか、今いないんだ、好きな人…
A「…今、いないんだ、好きな人…」
智「え？」
A「…軽い子…探してるんだ…」
…なんか、自分がかわいそうになってきた…
いいなって思ってる人に軽い子がいい発言されて、
なんて返したらいいかわかんない…
智「誰でもよくねぇよ」
智くんはなぜかふてくされた顔でそう言った。
智「好きな人いないときは軽い子でもいいって言ったじゃん」
A「…、だから、今、」
智「今はいるよ、」
A「…え…」
…今…いる？
、でも待って、私に“キスしていい？”って聞いてきたよね？
なに？あれはなに？
A「…でもさっき、私にキスしていいかって…」
恐る恐る智くんのほうに目線を向けると、きょとんとした表情でこっちを見た。
智「言ったよ？」
A「、でも今、好きな人いたらそういうこと言わないって…」
智「だって好きな人、Aだもん」
……、え？
智「俺好きって思ったら止めらんないんだよね(笑)。だから止めてくれてよかった。嫌な思いさせたくないもん」
智くんはさっきと同じようにへらっと笑ってビールに手を伸ばした。
A「…、す…き？」
智「うん、好き」
A「あ、…私を…？」
智「うん、Aがすき」
信じられなかった。
私ですら“いいかも”くらいなのに、一体どのタイミングで…？
…てゆーか、それこそ簡単に落ちそうだからそういうこと言ってるのかな？
そしたらそれって…
A「…私、軽くないですよ…」
智「、分かってるよ(笑)」
A「…」
智「軽い子は好きになんないもん(笑)」
＊
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作者名：うさこ
| 作成日時：2015年12月8日 16時
