だからこのまま…【Satoshi】 (ページ4)

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智「…」

テーブルの上に置いてある飲みかけのビールをじっと見てると、不意に智くんの指が私の髪に触れた。

A「、」

智「…キレイ…」

ゆっくりと横に垂れてた髪を耳に掛けると、智くんがじっとこっちを見つめてるのが分かった。

智「……」

A「……、なに…」

智「…キスしていい？」

A「、」

こんなとこで？

てか、まだ会って10分も経ってないのに？

助けを求めたくて顔を上げると、目線の先ではさっきよりいちゃいちゃ度が増した２人の姿。

…てか、体触ってるし、

…キス…してる…

うそ、やだ、どうしよう、

…この空間、いたたまれない…、

拳をぎゅっと握った瞬間、右手に重ねられた智くんの右手。

顔に似合わずごつごつとして、でもきれいな手にドキッとした。

智「…いい？」

智くんが私のこと好きじゃないことなんて分かってた。

目の前の２人がこんなにいちゃついてたら、男の人ならそういう気持ちになってもおかしくない。

…でもそれは悲しいから。

気持ちが入ってないそれだけの関係ってなんか違う気がするから。

A「…ダメ…です…」

智「…」

A「…ちゃんと、好きな人と…」

言葉が続かない。

融通の利かない女だと思われたかな。

ならいいやって思われちゃったかな。

…こんな短時間でいいなって思った人今までいなかったから、これっきりだと思うと寂しいけど、

でもきっと、ここで許してしまったらこの先は絶対ない気がする。

…でもどっちにしろ智くんは芸能人。

私なんて最初から遊びだったのかもしれない。

…そしたらやっぱりキスくらい…

＊