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「…僕は捨てられた側だけどあの人を恨んだりなんてしない。
そりゃ文句はいっぱいあるけどね。
体を大事にしてとか無茶しないでとかね。」
少しほほを膨らませながらいかにも拗ねてますなんて顔をした加州の胸ぐらを服部が掴んだ。
「なにカッコつけとんねん！
そんな相手文句いわなあかんやろ！！
ほんでもって待たしとる友達に会いに行ってしっかり謝り！」
強く言い切る服部に加州はキョトンとした目を向ける。
カッコをつけたつもりも、文句を言うつもりも本当になかった。
本丸に残してきた相棒にもし会えるとしたらそのときに言うのはきっと謝罪ではなく…
「もしあの人に会えるなら僕があの人に言う言葉は"ありがとう"であいつに会えたときに言う言葉は"ただいま"だよ。
それ以外の言葉なんていらないでしょ？」
加州のその言葉に服部の腕にさらに力が入る。
「平次、離したり！！」
和葉が声をあげるも服部は止まらない。
「その手を離しなさい。
貴方に沖田さんを責める資格があるの？」
静かにいい放ち、服部の腕を強く掴んだのは萩原だった。
彼にはわかるのだ。
どうしても相棒を置いていかなければいけなかった加州の気持ちが痛いほどに…
彼を殴る権利があるのは彼の相棒だけで服部ではない。
…まあ、そんなことをいったら萩原はあと４発は殴られなければならないが。
「…せやな。
悪い。」
萩原の強い瞳に服部は手を離すと加州はニコッと笑う。
「気にしなくていいよ。
たぶん僕も人と違う考え方を持ってるんだろうしね。
でも仁美があんな風に言うなんて思いもしなかったよ。」
「えー、そうかなぁ？
彼らは分かってたみたいだけど？」
そう言って萩原は五虎退と降谷、それと何故か松田を目で示した。
確かに彼女の言うとおり彼らには萩原が止めにはいることが分かっていたらしい。
目で示された全員がさも当然とばかりに加州を見ていた。
「そうみたいだね。」
緩く笑った加州はもう一度しっかりと池田屋を 見上げる。
どれだけ時が経とうとこの場所の記憶が無くなる訳じゃない。
あの時感じた怒りも恐怖も悲しみも何百年経ってもありありと思い出せる。
それでも
(俺は何度だってここに来る。
俺が向き合わなきゃいけない場所は、乗り越えなきゃいけない場所は絶対にここだから。
だから見ててよ過去の俺。)
今の池田屋をしっかりと目に焼き付けた加州は確かに前を見据えて降谷達へと足を踏み出した。
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吹雪(プロフ) - コメント感謝しますm(__)m返信、更新ともに遅れて申し訳ないです。これからもよろしくお願いします！ (2018年10月15日 10時) (
レス) id: 4e2a82a17c (このIDを非表示/違反報告)
泉 - とても面白いです！更新楽しみにしています(^O^) (2018年10月8日 15時) (レス) id: 43f343ee39 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：吹雪 燐 | 作成日時：2018年10月2日 20時
