18.lover | 壁 | friend ページ18
「結婚しましょう、Aさん。僕は必ず幸せにします。」
「ま、ま、ま、待ってください!!」
頭にぐるぐる回る「結婚してください」という言葉。一体何が何だか。
「結婚するにしろしないにしろ、まずは処置を受けてきてください!草間さん、でしたっけ」
「友彦と呼んでください、Aさん。」
「ともかく医療班の元へ向かってください!話はそれからです、草間さん!!」
渋々、といった様子で医療班の元へ向かう草間さんの背中を見て、幾分かほっと胸を撫で下ろす。
「…………なーんでィ、あいつ。横からぽっと出の癖に。」
「何を不機嫌になってるんですか。……まあでも、犠牲者が誰も出なくて良かったです」
「お前ェの活躍だろ」
「けど結局何とかしてくれたのは沖田さんです。」
「また謙遜。…ま、いーや。あのボンボンに捕まる前に、さっさと逃げやすぜ」
救護班の方角を一瞥すると、草間さんが素直に手当てされているところだった。
────迫られているときは気づかなかったけれど、草間さんは、柔らかな茶髪に、気品のある出で立ちで、遠くから見てもその上品さがわかるほどだった。
私の腕を掴んで、すたこらさっさとその場を後にする沖田さんに続きながらも、もう一度ちらりとそちらを振り返る。
すると、草間さんもこちらをじっと見ていて、どきっと心臓が跳ねる。
「────お、お友達から!なら!」
気づけばそう叫んでいた。
草間さんはにぱーっと笑顔を浮かべると、緩やかに私に手を振った。
「…………なぁにが、お友達からでィ。このアホ」
「いてっ」
こつん、と頭を小突かれる。
見るからにむすっとした沖田さんは、今日見た表情のどれとも違う。
「初対面で求婚たァ、坊ちゃんの考えることはわかんねェな」
「沖田さん。心配してくれるのは有難いですけど、そこまで邪険にしなくても……悪い人じゃ、なさそうじゃないですか」
「初めて面ァ合わせた相手に突然自分の子供を産んでくれっていう男なんざ、悪い人じゃなけりゃ一体なんだってんでィ」
「……それは、まあ」
一理あるけれども。
どうしても、草間さんがそこまで悪い人に見えないのだ。
あのときの、淀みのない瞳は本当に嘘ではなかったと思うし。
「……どうしたもんかなあ」
私の独り言に、沖田さんが「……そりゃこっちのセリフでィ」と呟いたことに私は気づかなかった。
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乙愛 - 草間さんのセリフにグッときたがワイは負けん…はっ!総悟!違う私は一筋じゃぁ (2018年12月19日 18時) (レス) id: 89a184ea87 (このIDを非表示/違反報告)
木ノ嶋(プロフ) - 乙愛さん» コメントありがとうございます。良い意味でキュッとして頂けたら幸いです。物語が徐々に動き始めてきましたので、どうか今後も見守ってくれたら嬉しいです。 (2018年12月10日 22時) (レス) id: 24579aa2d7 (このIDを非表示/違反報告)
乙愛 - なんか、心臓キュッってなりました。( ・∇・)きゅーん (2018年12月7日 22時) (レス) id: 89a184ea87 (このIDを非表示/違反報告)
木ノ嶋(プロフ) - アルハさん» 本当に嬉しいお言葉、ありがとうございます。受験生なんですね…この作品で、少しでもアルハ様の応援が出来たらいいなと思っております。ありがとうございました。 (2018年11月28日 7時) (レス) id: 24579aa2d7 (このIDを非表示/違反報告)
アルハ(プロフ) - 受験生の身でありながらついぶっ通しで読んでしまいました・・・笑上から下までタイプですありがとうございます。これからも応援してます! (2018年11月27日 16時) (レス) id: 5e4beefb64 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:木ノ嶋 | 作成日時:2018年8月17日 23時