20.制裁という名の若芽潰し ページ20
後日、真選組の屯所に一通の手紙が届いた。
それに1番初めに気づいたのは、監察の山崎。
届いた郵便物を仕分けし、これは近藤さん、これは土方さん、これも土方さん、近藤さん……と1枚1枚丁寧に宛先を確認している際に、それは山崎の目に止まった。
「んん……?Aちゃん宛かこれ」
1番隊隊長の沖田に手紙が届くことはあれど、副隊長のAに届いているのは珍しい。何かあったのだろうかと、興味本位で封筒をひっくり返す。送り主は。
「くさま、ともひこ…………?って、あの草間!?」
男所帯で話題に持ち上がっている、草間財閥のご子息が、我らが真選組の紅一点、紫吹Aにプロポーズをしたという事件。
この手紙がそれに関係ないはずがなかった。
「おおお、沖田隊長に見つからないようにしなきゃ……!」
山崎はそっとその手紙を懐に仕舞う。しかしその瞬間、まるで今までの行動を全て見ていたかのように、山崎の肩にポンと手が置かれる。
「ザキィ、何が俺に見つからないように、って?」
「うわあああ!!沖田隊長!!!?」
ドッキーンと全身が跳ねたことは言うまでもない。にこにこと笑みを浮かべる沖田の腹が黒い。
あ、あはは……と誤魔化すように笑う山崎の懐に無遠慮に手を突っ込み、"それ"を探すようにまさぐる。
「ちょ、沖田隊長ォ!?やめてください!何してるんですか!!」
本音半分、建前半分。
Aへの、草間友彦からの手紙をバレないようにするため、がひとつ。それから、男に身体をまさぐられているという恐怖感が、ひとつ。
山崎がヒィヒィと悲鳴を上げていると、沖田は目当てのものを見つけたのか、すっとそれを取り出す。
「あっ!」
「これか、てめェが隠そうとしたモンは」
山崎退、一生の不覚。まさか見つかってしまうとは。
今まで我らが紫吹Aに変な虫が寄って来なかったのは他でもないこの沖田のおかげであるし、真選組の中で血迷った男を制裁(程度は抜きにしろ)したのもこの男だ。
Aには沖田総悟がいるから、手を出すことはおろか余計な期待を持つことさえも許されない。
それが絶対というものだったし、それが当たり前だった。
まさかこんなところで、全くの部外者である財閥の御曹司が邪魔をしてくるなんて、誰が予想出来たろうか。
隊士たちはただ怯えているのだ。沖田の制裁の矛先が、自分たちに向いてしまうことを。
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乙愛 - 草間さんのセリフにグッときたがワイは負けん…はっ!総悟!違う私は一筋じゃぁ (2018年12月19日 18時) (レス) id: 89a184ea87 (このIDを非表示/違反報告)
木ノ嶋(プロフ) - 乙愛さん» コメントありがとうございます。良い意味でキュッとして頂けたら幸いです。物語が徐々に動き始めてきましたので、どうか今後も見守ってくれたら嬉しいです。 (2018年12月10日 22時) (レス) id: 24579aa2d7 (このIDを非表示/違反報告)
乙愛 - なんか、心臓キュッってなりました。( ・∇・)きゅーん (2018年12月7日 22時) (レス) id: 89a184ea87 (このIDを非表示/違反報告)
木ノ嶋(プロフ) - アルハさん» 本当に嬉しいお言葉、ありがとうございます。受験生なんですね…この作品で、少しでもアルハ様の応援が出来たらいいなと思っております。ありがとうございました。 (2018年11月28日 7時) (レス) id: 24579aa2d7 (このIDを非表示/違反報告)
アルハ(プロフ) - 受験生の身でありながらついぶっ通しで読んでしまいました・・・笑上から下までタイプですありがとうございます。これからも応援してます! (2018年11月27日 16時) (レス) id: 5e4beefb64 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:木ノ嶋 | 作成日時:2018年8月17日 23時