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88.手の届く範囲に、ずっと ページ38

「……私は昔から、ずっと、総くんしか見てないよ」



頬に添えられている手に、自分の手を重ねる。

ぽたり、と落ちた雫の理由は、決して悲しいからじゃない。



「だいすき。これからも、私で良ければ、総くんの隣に置いてください」



きゅ、っと総くんの眉が寄って、まるで、泣き笑いのような表情になって、それから。

ゆっくりと近づいてきた顔に、目を伏せる。

唇に重なる柔らかい感触に、また雫が零れた。



「……A、好きだ、昔からずっと、今も」



触れ合う唇はもはや擽ったくて。

じゃれ合うように、何度もキスをした。



「離れんな、俺の隣から」



言い聞かせるように、確認するように、何度も「好き」と言われて、頭がぽやぽやしてくる。

長い間、お互い言えなかった気持ちを、蓋をしていた感情をぶちまけるように、溢れ出る「好き」は止まらない。

身体の傷に触れないように気を使われているのも、全てが愛おしい。



「…総くん、だいすき」



ずっと気づかないふりをしていてごめんなさい。

たくさん与えられていた愛を、浴びるだけ浴びて、知らないふりをして、ごめんなさい。

恋は罪悪だと知った、恋は辛いと知った。

張り裂けそうな痛みを伴うことも、知った。

長い間、総くんにそんな思いをさせてしまって、本当にごめんなさい。

きっと謝ったって、降り積もった愛の量はどれほど償っても追いつかないだろう。

けど今度は、ちゃんと受け止めるから。

浴びたぶん、浴びせ返すから。

都合のいいことばっかり言ってごめんなさい、けれど。

そうやってゆっくり、償っていこう。



「……オイ」



コツコツ、と外から窓を叩く音に、びくりと跳ね上がる。

そこにいたのは、呆れ顔を浮かべた土方さんだった。



「ひ、ひ、土方、さん」



顔から火が出そうなくらい熱い。

恥ずかしい。見られた?いつから?

窓の外の土方さんはぱくぱくと口を動かして、何か言いたげである。

総くんは不満げに私から離れると、窓を少しだけ開けた。



「何ですかィ、今いいとこなんでさァ」

「現場の始末が終わったからそろそろ自重しとけって言いに来ただけだっつの。」



はあ、とため息をつく土方さんは、沖田さんと私を見比べて、何か考えるように口を引き結んでいた。



「…A、手当を受けたとは言え病院には行っとけ。あと、草間はもう病院に送ったからな」

「……ありがとうございます」



このお兄ちゃんにも、お世話になったものだ。

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乙愛 - 吉沢亮さん、良すぎですよね……。ほんと、沖田さん…。現在1番好きな役者さんです。 (2019年2月11日 10時) (レス) id: 6dafc5383a (このIDを非表示/違反報告)
乙愛 - お疲れ様でした!最後の写真みてみたいです…/// (2019年2月11日 10時) (レス) id: 6dafc5383a (このIDを非表示/違反報告)
ののこ(プロフ) - 毎回更新を楽しみにしていました。終わってしまって寂しさもありますが、素敵な小説に出会えて良かったです。ありがとうございました! (2019年2月10日 1時) (レス) id: c2027c837f (このIDを非表示/違反報告)
sachoco(プロフ) - とても素敵な作品に出会えて幸せでした。ハッピーエンドでとても嬉しかったですし、完結した寂しさの反動も大きく、それ程この小説にハマっていたのだと思います。本当にお疲れ様でした!(実写版沖田さん…本当に完璧と言わざるを得ない程素敵だと私も思いました!) (2019年2月8日 19時) (レス) id: 6ffe0b9ea7 (このIDを非表示/違反報告)
春先未(プロフ) - お疲れ様でした…本当に面白く更新を楽しみにしていた作品だったので終わってしまい寂しさ半分、素敵な作品と出会えたという幸せな気持ち半分です。とても素敵な作品をありがとうございましたm(_ _)m (2019年2月8日 18時) (レス) id: 948ea5509c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:木ノ嶋 | 作成日時:2018年12月14日 8時

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