77.理想的で現実的な男 ページ27
指定された場所までやって来ると、思わずそこを見上げてしまった。
「……うわあ」
どデカいビジネスホテルだった。
隊服ではなく私服で赴いたので、私が真選組だとはすぐにはバレないだろう。…多分。
先程草間さんから送られてきたメールを再度確認する。
確認しつつ、ホテルへと足を踏み入れ、エレベーターを目指す。
(ええっと……、あれ、もしかして最上階?)
草間さんからのメールで示された階数と、エレベーターの上限の数字が一致してしまっている。つまり、そういうことなんだろう。
(……本当に、凄い人なんだなあ)
このどデカいビジネスホテルも、決して安そうには見えない。
草間財閥のお坊ちゃんは、会社の代表取締役様は、やはり只者ではない。
すいすいと進むエレベーターに揺られ、1度も一時停止することなくチン、と目的の階にたどり着く。
そのまま廊下を歩いて、部屋の番号を確認していく。
(6、5、4……3、ここか)
ぴんぽん、とインターホンを押すと、ものの数秒でがちゃりと扉が開く。
「どうも、Aさん。お久しぶりです」
「お久しぶりです、草間さん」
電話越しに、自分は見苦しい姿だとか、見せたくないだとか言っていたのに、出てきた草間さんは至って綺麗な姿だった。
いつも会っていたときより服装や髪型が少しラフになった程度で、その品の良さだとか立ち振る舞いはいつもの草間さんである。
強いて言うなら、顔に少しの疲れが見るくらいだ。
「わざわざこんなところまで、ありがとうございます」
「いえ、草間さんこそお忙しい時間を割いてもらって」
「とんでもない。貴女に会える時間ほど大切なものはないんですよ」
ただのホテルですが、どうぞ。そう言って中へと通される。……勿論そこも、想像していたより遥かに綺麗な部屋であった訳だけれども。
「これでも片付けたんですよ、本当にお見せ出来ないくらい散らかっていたので。貴女が来ると聞いて、大急ぎで身だしなみも整えました、お恥ずかしながら。」
「…そんなの、想像出来ませんけど」
「それでいいんです。それでこそ、貴女の思う草間友彦こそ、僕の理想の草間友彦ですから。」
相変わらずの返答に、小さく胸を撫で下ろす。
何処と無く緊張していたのだ、ここに着くまで。……草間さんと話すまで。
(……今、この瞬間も、)
(草間さんは私のことを好きなのか)
好意の矢印がいろんな方を向いて、突き刺さっている。
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乙愛 - 吉沢亮さん、良すぎですよね……。ほんと、沖田さん…。現在1番好きな役者さんです。 (2019年2月11日 10時) (レス) id: 6dafc5383a (このIDを非表示/違反報告)
乙愛 - お疲れ様でした!最後の写真みてみたいです…/// (2019年2月11日 10時) (レス) id: 6dafc5383a (このIDを非表示/違反報告)
ののこ(プロフ) - 毎回更新を楽しみにしていました。終わってしまって寂しさもありますが、素敵な小説に出会えて良かったです。ありがとうございました! (2019年2月10日 1時) (レス) id: c2027c837f (このIDを非表示/違反報告)
sachoco(プロフ) - とても素敵な作品に出会えて幸せでした。ハッピーエンドでとても嬉しかったですし、完結した寂しさの反動も大きく、それ程この小説にハマっていたのだと思います。本当にお疲れ様でした!(実写版沖田さん…本当に完璧と言わざるを得ない程素敵だと私も思いました!) (2019年2月8日 19時) (レス) id: 6ffe0b9ea7 (このIDを非表示/違反報告)
春先未(プロフ) - お疲れ様でした…本当に面白く更新を楽しみにしていた作品だったので終わってしまい寂しさ半分、素敵な作品と出会えたという幸せな気持ち半分です。とても素敵な作品をありがとうございましたm(_ _)m (2019年2月8日 18時) (レス) id: 948ea5509c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:木ノ嶋 | 作成日時:2018年12月14日 8時