75.そして現代に返る ページ25
────ようやく草間さんと連絡がついた。
着信画面に映し出される「草間さん」の文字に目を疑ったものだ。
『すみません、仕事が立て込んでいたもので』
「……てっきり、やり返しのつもりかと思いました」
『やり返し?』
「お友達でいたい私に対する、お友達でいたくない草間さんからの。」
『ああ。』
連絡がつかなかったせいで未だに畳んだまま紙袋に仕舞われているジャケットをちらりと見る。
洗濯して、クリーニングに出して、どれくらい経ったのだろう。
『僕が貴女にそんなことをするとでも?』
「するとでも、思ってたんですよ」
『心外ですね。』
ふう、と息をついたのが電話越しに聞こえる。
『好きな女性からの電話に、僕が出ないはずがないでしょう』
「……、酷い女ですから、私は。電話に出られないのも納得かな、と」
『そんなこと言わないでください。僕が貴女からの電話に出られないことが、どれだけ苦しかったか知らないからそんなことが言えてしまうんですよ』
「……」
何処までが嘘で、何処までが本当かだなんて、草間さんを相手にしていて気にしてはならないことなのだとわかってきた。
考えたところでわかりはしないのだから、とりあえず、言われた言葉は全て受け止める。
『ジャケットですか?』
「そうです」
『
ジャケットは差し上げます、なんて言えたらいいんですが、メンズのものなんてAさんも要らないでしょう?』
「……お気遣いありがとうございます、ジャケットを返すだけですし、私が草間さんの元まで赴きますよ」
『大丈夫ですって、そのジャケット1着なくても僕は困りませんから』
草間さんが凄いことなのは知っていたけれど、今まで仕事が忙しいだなんて素振りを見せていなかったから、何だか少し新鮮だ。
普段の草間さんは余裕に溢れていて、いつも微笑んでいたから。
(……それも、私のために悟らせないようにしてたとしたら)
恋の力もなかなか侮れない。
「草間さん、今どちらに?」
『来ようとしても無駄ですよ、僕は貴女に会いたくありません』
「…私が貴方に会うための口実にしてるとは、思いませんか?」
「残念ながら」
「……もう、草間さん」
想像より遥かに強情な人だった。
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乙愛 - 吉沢亮さん、良すぎですよね……。ほんと、沖田さん…。現在1番好きな役者さんです。 (2019年2月11日 10時) (レス) id: 6dafc5383a (このIDを非表示/違反報告)
乙愛 - お疲れ様でした!最後の写真みてみたいです…/// (2019年2月11日 10時) (レス) id: 6dafc5383a (このIDを非表示/違反報告)
ののこ(プロフ) - 毎回更新を楽しみにしていました。終わってしまって寂しさもありますが、素敵な小説に出会えて良かったです。ありがとうございました! (2019年2月10日 1時) (レス) id: c2027c837f (このIDを非表示/違反報告)
sachoco(プロフ) - とても素敵な作品に出会えて幸せでした。ハッピーエンドでとても嬉しかったですし、完結した寂しさの反動も大きく、それ程この小説にハマっていたのだと思います。本当にお疲れ様でした!(実写版沖田さん…本当に完璧と言わざるを得ない程素敵だと私も思いました!) (2019年2月8日 19時) (レス) id: 6ffe0b9ea7 (このIDを非表示/違反報告)
春先未(プロフ) - お疲れ様でした…本当に面白く更新を楽しみにしていた作品だったので終わってしまい寂しさ半分、素敵な作品と出会えたという幸せな気持ち半分です。とても素敵な作品をありがとうございましたm(_ _)m (2019年2月8日 18時) (レス) id: 948ea5509c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:木ノ嶋 | 作成日時:2018年12月14日 8時