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73.よーいドン! ページ23

『………、おじいさんとおばあさんに、相談しなさい』



ぐう、と考えて近藤さんが出したのは、そんな言葉だった。



『そんな時間あったら、近藤さんたちは先に行っちゃうでしょう』

『…Aちゃん、』

『総悟がここまで言うんだ、こいつに責任持たせちゃいいんじゃねェか、近藤さん』



渋る近藤さんに、そう後押ししてくれたのは土方さんだった。



『……トシまでそう言うか』

『心配なんだろ、Aのこと。俺らがいるから大丈夫だろ』



ぶっきらぼうに言い放たれつつも、それほど嬉しく心強い言葉はなく。

近藤さんは暫し考えるように眉間に皺を寄せていたが、そのうち大きく息をついて、『わかった!』と言った。



『……"A"、急いで用意して来るんだ。おじいさんとおばあさんにも出来れば話をつけて。もしすぐには駄目だったとしたら、後々俺から手紙を出そう』

『近藤さん……』

『ただし、俺達は先に歩いている。全て準備して、俺たちに着いてこれたら、江戸まで一緒に行こう』

『…ありがとうございます!!』



深く、頭を下げた。

それから大急ぎで自宅へと戻る。

…初めて、近藤さんに呼び捨てにされた。それが覚悟の印だと、さすがの私にもわかっている。

胸が高鳴っていた、高揚していた。



『おじいちゃん!おばあちゃん!』



私が走って家に帰って扉を開けた瞬間、一纏めにされた荷物が押し付けられた。



『な、何?』

『江戸に行くんでしょう?』



荷物越しに見えたおばあちゃんの姿は寂しそうで。



『そこに一式纏めているから、行っておいで』

『何で、知ってるの?』

『前からね、近藤さんちの勲くんが話しててくれたんだよ。"もしAちゃんが自分たちに着いてくると覚悟を決めるのならば、自分たちは責任を持って、Aちゃんと共に歩みます"、ってね』

『……いつの間に』



おじいちゃんは何処か誇らしげに、にこにこと微笑んでいる。



『可愛い子には旅をさせよと言うだろう!ただし、時々手紙は寄越してくれよ。寂しくて寿命が縮まっちまうからな』

『それ…笑えないよ……』



嬉しくて、笑いながら思わず涙が滲んだ。



『……ありがとう、今まで。本当にありがとう。いってきます。』

『いってらっしゃい、元気でね』

『また元気な姿を見せとくれ!』



深く深く、頭を下げた。

私にとっては親も同然の祖父母に、別れを告げ。

私は新たなスタートをきることとなる。

74.ここから始まる私達の物語→←72.人生における転機



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乙愛 - 吉沢亮さん、良すぎですよね……。ほんと、沖田さん…。現在1番好きな役者さんです。 (2019年2月11日 10時) (レス) id: 6dafc5383a (このIDを非表示/違反報告)
乙愛 - お疲れ様でした!最後の写真みてみたいです…/// (2019年2月11日 10時) (レス) id: 6dafc5383a (このIDを非表示/違反報告)
ののこ(プロフ) - 毎回更新を楽しみにしていました。終わってしまって寂しさもありますが、素敵な小説に出会えて良かったです。ありがとうございました! (2019年2月10日 1時) (レス) id: c2027c837f (このIDを非表示/違反報告)
sachoco(プロフ) - とても素敵な作品に出会えて幸せでした。ハッピーエンドでとても嬉しかったですし、完結した寂しさの反動も大きく、それ程この小説にハマっていたのだと思います。本当にお疲れ様でした!(実写版沖田さん…本当に完璧と言わざるを得ない程素敵だと私も思いました!) (2019年2月8日 19時) (レス) id: 6ffe0b9ea7 (このIDを非表示/違反報告)
春先未(プロフ) - お疲れ様でした…本当に面白く更新を楽しみにしていた作品だったので終わってしまい寂しさ半分、素敵な作品と出会えたという幸せな気持ち半分です。とても素敵な作品をありがとうございましたm(_ _)m (2019年2月8日 18時) (レス) id: 948ea5509c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:木ノ嶋 | 作成日時:2018年12月14日 8時

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