doggy days ページ14
「あ、いえ…俺のほうこそ。お兄さん、お名前は」
この期に及んで俺は何をしているのか。だけれども、名前が聞きたかった。ナンパばかりしている自分の癖だ、すぐに名前を聞いてしまう。
男は一瞬キョトンとしたが、すぐに品の良い笑顔に戻り、櫻井翔ですと言った。
この至近距離でないと気付かないほど僅にだがスーツにそぐわない太めのシルバーチェーンが首もとから服のなかへと続いていて、妙に気になった。何故ならそれは、まるで…。
「翔…さん。弁償は大丈夫。その代わり、連絡先を教えて」
彼の視線に気付き慌てて間を繋ぐ。女相手ではないのだ、別に普通かなとナチュラルに聞いたつもりだ。それなのに周りがざわつく。そうか、グラス落として注目されてたんだった。だがそれにしてもこのざわめきはなんだ…？
「やあ、こんにちは。しょーくんが粗相したって？それはごめんね」
いつのまにか彼の後ろに小柄な男。
俺でも知っている、この男。
「現代アートの鬼才・大野智…！」
「おや、俺のこと知ってるのか。嬉しいねえ」
当然というような、嬉しいようには見えない目の奥。若くして有名になった世界的アーティストなのだからこのパーティーにいる人間で知らない者はいないだろうけれど。
「でもしょーくんはダメだ。ごめんな」
ああ、冷ややかなのはそういうことか。
行こうか、しょーくん。男がそう言うとはい、と彼の声が続いた。
そして振り返り、耳元で
「すみません。僕は大野の犬なので」
小声で俺にそう言った。
その時の、困ったようにはにかんだ彼の美しさといったら。
・
とても綺麗な人を見た。
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Mia.(プロフ) - きよさん» きよさん、コメントありがとうございます。sygrの山キャンプがあまりにも尊く…、つい書きました。久しぶりの執筆でしたので稚拙なものとなりましたが、あたたかいお言葉本当に嬉しかったです。励みになりました。またいつか更新した際はどうぞ宜しくお願いします。 (2020年9月23日 10時) (
レス) id: 0519a4140b (このIDを非表示/違反報告)
きよ(プロフ) - Mia.さん、山コンビのキャンプ尊いです 。翔くんもキャンプにはまりそうでしたよね。でもやっぱり、二人だから楽しかったし、やりたくなったんですよね！ドンピシャなお話しありがとうございました。 (2020年9月20日 22時) (レス) id: ae2dee5c90 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Mia. | 作成日時：2019年1月23日 18時
