(8/26更新)今日から友達【神尾晋一郎】5

温和な彼を怒らせた男 ページ43

晋太郎side

２人分の飲み物を持って中庭に戻るとAちゃんの泣き叫ぶ声が聞こえた。
なんでって最初は思ったけどすぐにその原因が何かを理解した
多分、Aちゃんにとっては良くないことが起こったんだ
辺りを見渡すとAちゃんを無理やり引っ張ってる男の人を見つけた。
あまり人が来ない中庭。その状況をいいことに男はAちゃんを乱暴に扱う
Aちゃんは必死に抵抗してるけど相手の力に敵わなくって引きずられてる
中背中肉の男性とAちゃんじゃどう頑張っても体格差があり過ぎる
それにAちゃんの顔を見てすぐに相手が誰なのかも理解する。
こいつはAちゃんが傷を負う原因を作った相手．．．つまり実の兄だ
想像以上にAちゃんに対しての接し方が雑で怒りが湧いてくる
これを神尾くんがあの日、目の前で見た光景なのであれば言い返したくなる気持ちも分かる
いや、逆によく言葉だけで我慢できたと思うくらいだ
普段あれだけ優しい性格の彼を怒らせるってことはかなりヤバい相手なんだと思う
そんな状況をずっと１人で耐えてきたAちゃん
その心はきっと俺らが想像するよりもずっと、ずっと深い傷があるんだろうな
もっと早くに俺達、出会えなかったのかな









晋太郎『あんた誰？』









『──っ、浅くん．．．』









晋太郎『俺の妹になにしてんの？』









Aちゃんと彼を引き離して手が出せないように俺の背に隠す
そんな状況を見て彼女は安堵からか俺の背中に頭を預けて"ごめん"って泣き出した
何がごめんなの？俺らが守るって決めたんだよ？
何も不安に思わなくって大丈夫だよ、絶対に離さないから
俺の方こそ助けに来るのが遅くて怖い思いさせてごめんね

諭しなんて通用しない→←いつも同じ

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