検索窓
今日:50 hit、昨日:198 hit、合計:48,250 hit

▼優しい意地悪 ページ39

.





人混みを抜け、並ぶ露店の裏側奥へと向かう。





会場内から少し外れると、辺りは暗く人もまばら。


所々で目に付く、仲の良さそうな恋人たちが


思い思いの時間を過ごしている。





辺りを見渡しながら歩いていると


ここでいいかな、と大きな木が立つその真下で


京治がぴたりと足を止めた。





赤葦「A、腕見せて。」


A「...腕?」





言われるがまま


私は京治の方へと腕を伸ばした。






赤葦「っ、...赤くなってる。」






一瞬だけ顔を歪ませたその表情に


さっきの怒った京治の顔が、頭に浮かぶ。






A「京治、大丈夫だから!

 本当にごめんなさい..。」






これ以上の心配をかけたくなくて


私は「大丈夫だよ」と笑って見せた。






赤葦「...馬鹿。」






その言葉と同時に


グッと身体を引き寄せられ


私の肩に、しっかりと感じる温かな重み






さっきまで私の視界にいた京治が


隣で顔をうずめている。






赤葦「..どうしてAはそうなの。

 俺が全然、大丈夫じゃない。」


A「...ごめん。」


赤葦「心配したよ、凄く。

 ..Aに何かあったらどうしようかと思った。

 案の定、やっぱり変な奴らに絡まれてるし。

 本当、心臓に悪い。」


A「...でも、京治が助けに来てくれて嬉しかった。」






私がそう言うと


はぁ。と軽く溜め息を付く声が聞こえて来た。






A「...溜め息付かなくたっていいじゃん。」






いつもの調子を取り戻しつつも


少し膨れながら小声で言うと


京治がむくりと顔を上げた。






すると今度は


鼻と鼻がくっつくギリギリまで顔を近づけて


むにっ、と私の膨らむ頬を片手で挟んできた。






A「!?んむっ...。」


赤葦「..っく、すごい顔。」


A「むーっ!!//」






顔が近いのと、変な顔になっているのとで


見られていると思うと


急に恥ずかしさが込み上げる。






「離して。」と京治の腕を掴もうとすると


「やだ。」と、いとも簡単に


もう片方の手によって阻止されてしまい






気付いた頃にはもう遅く


トン、と後ろの木に背中がついたのが分かった。






赤葦「本当、Aはすぐ顔が真っ赤になるよね。」


A「これは...京治のせいだからね..//」






そう言うと


京治は少しだけ目を丸くして


ふわり、頬を赤く染めて笑った。






赤葦「..あーぁ、限界。

 ..もう本当...大好きだよ。」






.

▼「好き」と「好き」→←▼無機質な瞳



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.6/10 (27 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
57人がお気に入り
設定タグ:ハイキュー , 黒尾鉄朗 , 赤葦京治   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:R. | 作成日時:2016年7月12日 14時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。