▼笑顔の道化師 ページ35
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A「え、と?..。」
「あげる。
これ、君の指には大きすぎるけど
さっきの彼なら合うと思うんだよね。」
そう言って、私の掌に箱を乗せる。
A「でもっ、こんな素敵なもの。
..頂けません。」
「もちろん..タダではあげないよ。」
ニッと笑うその妖しげな雰囲気に
少しだけ、背中がゾクリとした。
「ふっ、なーんてね。
もし君のさ、告白が成功して
彼と付き合うことが出来たら、
一緒にお店に遊びに来てよ。」
僕、絶対自分のお店出すからさ、と
今度は、あどけない笑顔で彼が笑った。
A「はいっ..、お約束します!」
そう言い、深々とお辞儀をすると
彼の浴衣の袖口から伸びる
白く、細長い手が
私の左手を静かに掴んだ。
「ねぇ、それにさ。
おまじない、かけといたから。
君のどうしても叶えたい願いが
叶います様に、って。」
A「!?////」
ニヤリと、左の小指を見つめながら
微笑む彼は、やっぱりどこか妖艶で。
A「わっ、私、みんなを待たせているので
もう行きますね//..長々とすみません!」
「あははっ、ほーんと面白いね、君。
じゃあ、頑張って。
きっと上手く行くよ。」
A「//本当に、ありがとうございましたっ!」
そう言って再度、深くお辞儀をし
ひらひらと手を振る彼を背に
私は、再び人混みの中へと潜り込んだ。
不思議な人だった。
女性の様な綺麗な顔立ちで
独特の雰囲気を持っている人。
コロコロと表情を変える、その姿は
まるで夜見世に笑う
道化師の様。
掌に握っている小さな箱を見て
なんとなくだけど、夢じゃなかったんだと実感する。
世の中には、いろんな人がいるんだなぁと思いながらも
本来の目的であった場所まで
足を走らせた。
――――――――――――――――――――…
射的屋さんの隣
たくさんの飲み物が並んでいる露店まで
ようやく辿り着いた。
A「はぁっ...ついたっ..飲み物が専門のお店なんだ。」
ゆっくりと中を見渡すと
缶ジュースや瓶のジュース
カクテルやオリジナルドリンクなどが
ズラリと並んでいる。
見たことの無いドリンクもたくさんある。
そんな中、カラフルなラムネの瓶を見付けて
直感で、これにしようと決めた。
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作者名:R. | 作成日時:2016年7月12日 14時