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今年の私のクラスは女子部1年2組。
流石に四年目だから、面子は見知った顔ばかり。
気を緩めて話せる子は4人ほど。友達だと言える子は0人。
今までの戦歴と比較すると、結構当たり年だと思う。
去年のクラスには、怖がらずに話せる子は2人しかいなかった。
美術部に所属している眼鏡をかけた子と、同じく美術部に所属している大柄な子。
私はクラスの中で一人ぼっちにならないように、その二人の後を頑張って追いかけていた。
全然知らないアニメや漫画の話を右耳から聴いて左耳から流し、体育の時間には3人で日陰に座って、サボっているのがばれないように、こそこそと隠れていた。
その時も、二人は深夜アニメの話をずっとしていた。
私も何が面白いか分からないけれど一緒に笑った。
二人に合わせて笑う時、私はいつも頬の筋肉が痛かった。
顔の筋肉は感情と連動している。
だから、自分の気持ちと反する表情をすると、余計な負荷がかかるんだと、私はその時理解した。
結局、3学期に入り、家族が一人増え、一年の終わりが見えると、誰かと無理に合わせて行動するのが馬鹿らしくなって、休み時間は怯えながら本を読むようになった。
でも、そっちの方がずっと気楽だった。
案外、クラスの人は私のことなんか気にしていないらしい。
何も言われず、誰にも触れられず、一日が終わる。
それでも、寂しいとは思わなかった。
放課後になれば、龍斗くんが迎えに来てくれるから、クラスで一人でも、本当に一人になってしまったとは感じなかった。
今年のクラスも満点と言うわけではない。
学年の中でいちばん派手なグループに属する二人がいて、その子と上手いことやっていけそうな子たちも数人いることを考えると、あまり心穏やかではない。
でも、私でも話しかけられるような子たちは去年と違って無趣味そうな子ばかりだし、中間層の子たちも、体育祭や合唱コンに熱いタイプではなさそうだ。
龍斗くんは男子部1年2組。
昨年度、と言ってもほんの数週間だけだが、クラスで仲の良くなった子とまた同じクラスになれたらしい。
入学式の帰り道、桜の木が植えられた通りを歩いてる時に教えてくれた。
白目いっぱいに太陽の光を集めながら、にこにこと話す姿は、それまで見たことがなかった。
暗く深い闇はどこにもなかった。
私は龍斗くんと同じ家で暮らしているのに、一緒の布団で寝たこともあるのに、そんな表情を引き出せたことが未だに一度もない。
それがなんだか悔しかった。
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れお(プロフ) - 陽依さん» コメント有難うございます。そんな風に言っていただけて、本当に嬉しいです。ゆっくりですが更新していきますので宜しくお願い致します。 (2021年8月4日 0時) (レス) id: 8293f3a179 (このIDを非表示/違反報告)
陽依(プロフ) - ほんとにこのお話大好きです!なんでとかはうまく言えないんですけど…これからも楽しみにしています! (2021年8月2日 22時) (レス) id: 5f72745e3d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:れお | 作者ホームページ:https://peing.net/ja/reosndy
作成日時:2021年6月26日 21時