半分こ (ページ5)

今日:2 hit、昨日:7 hit、合計:20,597 hit

act：01_2 ページ5

.

同じごろ、宇賀神との喧嘩を終え、2Cの教室では、達也、哲也、聡、麻耶、ユウキ、誠、祥平の7人が一息ついているところだった。

「あー、今日も大変だったなあ」

祥平は椅子にだらしなく腰掛けてぐぐっと背伸びをした。

「祥平さん、掃除棚に隠れてただけじゃないっすか」
「うるせぇ」

聡は机に腰掛け、口端の血を親指で拭いながら話すと祥平にこつんと頭をはたかれた。
麻耶はいつものように汚れた革靴をハンカチで磨く。廊下を歩くセーラー服を着た女の姿が麻耶の視界に入ると「女？」と不思議そうに呟いた。

麻耶の発言につられて、皆顔を上げ麻耶の見る方向を見るとセーラー服を着た女の姿が視界に入った。女は色物を見るような周りの男子生徒の視線なんて気にせずにすたすた歩いていく。

「なんでウチに女がいるんだよ！」

達也が少し怒りを露わにした表情で吠えた。ユウキと誠は顔を見合わせて首を傾げた。聡は男子校のしかも最凶と謳われるこの馬鹿田に入り込むなんて怖いもの知らずな女だと思いながら女の姿を目で追った。祥平は「かわいいな」と小さな声で呟いた。

白いセーラー襟に黒いスカーフがあしらわれた紺色のセーラー服。この辺ではあまり見かけない制服だった。

「マジ女」

哲也が声を発すると、皆女の方に注目していた視線を哲也の方に向けた。「マジ女？」と聞いたことのない単語にユウキが聞き返した。

「隣町のヤンキーしかいない女子校だよ」
「なんでそんな奴がうちに？俺たちに喧嘩でも売りにでも来たってのか」

聡が不思議そうに言うと、達也が女を探しに教室を出た。その後に続いてユウキと誠、聡がついて行く。

「あれ？祥平さんは？」

麻耶は自分の隣にいたはずの祥平の姿がいつの間にかないことに気づくと周りを見渡し、その場に残った哲也に尋ねた。

「女のところだろ、とりあえず行くぞ」

女に話し掛けにでも行ったのだろうと簡単に想像がついた。遅れて麻耶と哲也も教室から出て、女を探しに行く達也たちを追いかけた。

04.馬鹿田のヤンキー

.