【あんスタ】愛を零してマルグリット【合作短編集】 (ページ3)

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パラパラと降り出した雨は学校の敷地内のアスファルトを黒く染める。
昇降口を出て、足早に帰路につく生徒達が差す色とりどりの傘がアスファルトの上で花を咲かせる。
そんな風景を眺めながら僕は、Aと一緒に先程降ってきた飴の仕分けをしていた。

「もうAったら、びっくりするじゃん！」

先程降ってきた飴はAがいつも通り何もないところでコケた事が原因だった。
そして、『偶然にも空いていた窓からダンボールの中の飴玉が姫宮桃李の元へと降り注いだ』のだ。

「ほんと、Aの不幸体質は変わらないよね～」

丁寧に色別に仕分けていた飴が自分の不注意で混ざってしまったからなのか、あはは…っと半分諦めたように笑う彼女。
「飴の次は雨が降るなんてね…」と冗談まじりに言った。

雨ではなく飴が降る事を、子供の頃なら誰しもが夢見たであろう。
実際、一瞬だけ見えたカラフルな飴が降り注ぐ景色に僕は興奮を覚えたのだから。

…その数秒後にそれらが自分の顔面に直撃したことを除けば。

まだ少し痛む鼻を気にしながら最後のピンクの飴玉を箱にしまう。

「はい、終わりだよ。これは僕が持っていくから。え、重いからいいって？え～だってAまた転ぶよ？」

僕がそう言うとAは観念したのか大人しく僕の後ろをついてきた。

「全く…いくらプロデューサーとは言ってもAは女の子なんだし、僕らアイドルの事もっと頼ってくれていいと思うんだけど？

……A、聞いてる？」

「…あ、ごめん」

急にAが歩みを止めたものだから自分もつい、足を止めてしまった。

「何かあった…？」

僕がそう聞くと彼女は考え事をするかのように視線を泳がせ、

「えっと、どこの国だったか忘れたんだけど、色とりどりの傘が空中に揺蕩ってる？浮いてる？みたいな。そんな場所があるらしいの。
外の風景見てたら、なんか思い出しちゃって」

そう答えた。

「ふーん」と口では素っ気ない返事をしつつもAそんなのに興味あるんだ…。なんて、意外な面を知ることが出来て嬉しかったりする。

家に帰ったら何処の国のことなのか調べてみようかな。
帰宅後の予定を頭の中に思い浮かべ、隙間の時間を使う事を決めた僕は再び足を進めた。