【あんスタ】愛を零してマルグリット【合作短編集】 (ページ11)

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「紅茶はダメだったかな？」

「あ－、全然！ありがとう」

嘘。君は、紅茶が苦手だ。初めて飲んだ時の顔、面白おかしくて凛月くんと大笑いしたことがあったね。今の君も、頑張って平然と飲んでるつもりだろうけど、僕は「ふふ」っと笑ってしまった。

「苦手なんだね？」

「うう、ごめんなさい。貰ったものはきちんと、飲もうともって」

「… …いいんだよ、はい、お口直しとまでいかないけど、」

僕は冷たいココアを彼女に渡した。とても嬉しそうな顔をして、「ありがとう」と言ってくれた。僕は彼女にとっては見知らぬ他人と同等なはずなのに、会いに行くたびに笑顔て待ってくれた。ああ、好きだなっと心の中で感じた。
笑ってくれてる、笑顔な君を見るだけで僕は幸せ者なんだ。

あの時に失わずにすんだこの奇跡が、僕にとって最も大切なものなのかもしれない。

半年も経てば、彼女を外に連れていくことだって出来た。僕の体調を気遣ってくれたり、逆に僕が彼女を気遣ったり。「似たもの同士みたいだ」と笑った。ずっとこんな瞬間が続けばいいなんて、彼女はもしかしたら思ってくれてるのかもしれない。だけどそれは、僕の淡い期待なだけ。いつか君の口から、「好き」という言葉が聞きたいだけ。でも、それには一年じゃ足りないんだ。

「英智くんの誕生日って1月10日なんだ！」

「……何か祝ってくれるのかい？」

「勿論！だって私達友達なんでしょ？」

肯定する行為をしても、僕の心は痛むだけなんだよね。君にとって僕は「友達」なんだ。それ以上、それ以下にもならない。ただ、対等な関係のまま。きっとこの先も、そのままなんだ。

「英智くん」

本当はこのままの方が後々楽になるのに、どうしてこうなるんだろう。神様は悪戯が大好きなんだね。

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