海色の異能力者 ページ2
.
私の一日は、冷蔵庫に常備しているヤクルトを飲み干すことから始まる。
中学生の頃から欠かしたことはなく、常に家に何本ヤクルトがあるか把握して、２つになれば買い足す程のリピーター。
乳酸菌っていうのは、なんなのかよく分からないけど、なんとなくすごいものって思えるところがすごいんだと思う。
それを私は朝食を採らない理由にしている。
それから探偵社の皆さんから頂いた服を着て、髪を簡単に整える。
これまた探偵社の方から頂いた手鏡を覗いて、にこりと笑顔と見つめあって出勤する。
「おっはようございまーす！！」
「Aちゃん、お早う。今日も善い笑顔だね。」
昇降機を降り、会社の扉を開いて真っ先にするのは挨拶。
一番に気づいて挨拶してくれるのはいつも決まって太宰さんだ。
「おはようございます、太宰さん！
今日もお世辞が冴え渡っていますね！」
「そんな、お世辞じゃあないよ。」
「ふふ、普段言われないので、お世辞でも嬉しいです！」
扉の前で駄弁っていると国木田さんに怒られてしまうので慌てて机につく。
今日処理する書類と出向く依頼の確認をしようと手帳を開くと、国木田さんに静止された。
「ああ、予定を狂わせてしまって済まないが、立河には昨日頂いた依頼に向かってもらう。
予定の書類はこちらで処理する。いいか？」
「依頼、ですか？それはどのような？」
国木田さんが、本当に済まなそうに話すので、こちらも何故か居た堪れない気分になる。
自分が予定を大事にしているからこそ、他人の予定を狂わせるのは罪悪感があったのだろう。
そう考えるとやはり国木田さんは善い人だ。
どうやら依頼というのは、警察から来たものらしい。
ここ数日、連続で三件の屍体が発見されたらしく、それがどれも海から引き上げられたのだとか。
捜査が行き詰まっているので応援要請が来た。
警察から依頼が来ること自体珍しくないのだが、国木田さんの話に、私はふと疑問に思う。
「捜査の応援ですか？それならいつも江戸川さんが向かっていらっしゃいますよね。如何して今回は私が……」
「それはね、Aちゃん」
何時もこのような依頼は、超推理が使える
江戸川さんが向かっている。
私は大して頭がキレる訳でもないのだ。
尤もな疑問をぶつけると、奥の机に座って駄菓子を嘗めていた江戸川さんが答えてくれるようだ。
「君が、海色の異能力者だからさ。」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 23人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
はづ星咲(プロフ) - よっしー3号さん» はじめまして、コメントありがとうございます。そう言って頂けて嬉しい限りです。 太宰さんの一人称の件、大変失礼致しました！先程修正して参りました。こちらが人物の一人称や人物同士の呼び方などを把握できておらず…。これからもご指摘頂けますと幸いです。 (2017年5月28日 10時) (
レス) id: 57d4552860 (このIDを非表示/違反報告)
よっしー3号(プロフ) - とっても面白い話ですね！ ……一寸云いにくいのですが、太宰さんの一人称は『僕』じゃなくて『私』ですよ？ ……ってあぁぁ、上から目線過ぎましたすみませんっ！ これからも更新頑張って下さい！ (2017年5月27日 22時) (レス) id: 669979a4ff (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：はづ星咲 | 作成日時：2017年5月26日 19時
