これからのこと ページ10
悔しく顔を歪めるグルッペンの肩を
ポンポンと叩く。
『まあまあ、
あのレポート先生から褒められたんだろ？
ならまあ良いんじゃないの。』
「うーん、まあな。」
『どういう内容だったんだ？』
そういえば聞き忘れていたので尋ねると、
彼は頷いて説明を始める。
「呪術の一種についての研究だ。
特に、薬草を利用する一時的な効果のものについて。」
『へえ。』
グルッペンは手振りを使ってペラペラと語り始めたが、
内容の半分は理解できなかった。
証拠がいっさい残らない、とか
一定時間内空間を密閉できる、とか言ってた気がする。
私はそうなんだ、と顔だけ熱心な様子で、
深く首肯するしかなかった。
『学業も問題ないようで何よりだが、
自警団の仕事も並行してな。
エーミール君の敵を退治してやらんと。
頑張るぞグルッペン。』
「おお。」
ぐっと手を握り締めて笑う。
そのままふざけて軽く拳をぶつけて、大げさに敬礼しあった。
────冬休みは近づいてくる。
クリスマス、という文化はこの世界には無いようだが、似たような祝日はある。
ほとんどの学生が寮を出て実家に戻る。
私も漏れなくその1人であったが、懸念はあった。
「エーミールはどうするんや？」
「………………まだ迷ってます。」
温室で紅茶を飲みながら、
自警団内で作戦会議をしている最中。
冬季休暇期間、エーミールをどこに匿うか、
という問題に直面した。
彼は易々と実家には戻れない。
下手に家に近付くと、
血族に命を狙われるかもしれないからだ。
「泊めさせてやりたいのは山々やけど。」
トントンは申し訳なさそうに眉尻を下げる。
まあ、刺客に狙われているような貴族の青年を匿うと、その家にも被害が及ぶかもしれないだろう。
簡単に了承できないのも分かる。
「うちも無理やわ。」
「うーん、俺も一応ショッピ君に聞いてみたけど。」
『駄目だった？』
「おん。」
頷くコネシマ。
だろうな、と納得するしかない。
「んー、じゃあうち来るか？」
グルッペンは首を傾げつつ、問いかける。
「一応、実家は宿屋だからな。
部屋なら取れるぞ。セキュリティーは保証できんが。」
「いいんですか？」
安堵と不安、驚きを顔に浮かべたエーミールが、瞬きを繰り返している。
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サツキ(プロフ) - ひいいん😭何度読み返しても素敵な作品です（ ; ; ）のんびり更新待ってます‼️ (10月25日 3時) (
レス) @page40 id: 59b14c1ff4 (このIDを非表示/違反報告)
ぬ - めちゃめちゃ好きで先が楽しみです！！更新楽しみに待ってます！ (8月17日 15時) (レス) @page40 id: c9b27d8eb7 (このIDを非表示/違反報告)
亜鉛2℃(プロフ) - 更新ありがとうございます。お待ちしておりました。とても面白くて文に厚みがあって素敵です。これからも楽しみに待っております。 (2023年4月5日 15時) (レス) id: 7a92f90d7d (このIDを非表示/違反報告)
ユズ(プロフ) - 更新ありがとうございます〜!!!!!まじでずっと待ってました!!!!これからも頑張ってください!!!鬼面白いです!!!! (2023年3月29日 20時) (レス) @page39 id: 05561d72b4 (このIDを非表示/違反報告)
六時の虹(プロフ) - 更新ありがとうございます！この小説めっちゃ面白いです！ (2023年3月29日 10時) (レス) @page39 id: 6ed7129851 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：そね
| 作成日時：2020年6月8日 23時
