宣言 ページ40
宿で夜食を摂っている最中。
皆が皆疲労に滲む表情を見せていたそんな時だった。
ゾムが意識を取り戻してしまった、という
情報は私たちの中で共有されていた。
あのおぞましい暗殺者が目覚めてしまった。
覚悟していたとはいえ、
なかなか恐ろしい事態だ。
第一、彼の最終的な処遇はどうするべきなのか。
縛っている間は安全だと思われるものの、
迂闊な判断はできない、と全員が強張った顔色のまま
リゾットを口に運んでいる。
そんな中で、私はスプーンを置いて、こう宣言した。
『しばらくは
私がゾムの相手をするよ。』
私の一言に、皆ギョッとする。
オロオロと顔色を伺ったり、嫌そうに眉を顰めたりと、
反応は様々だ。
「おい、ほんまか？」
「危ないですよ」
まず止めたのはコネシマ、そしてショッピ君だった。
ショッピ君は側近としての知見なのか、
ピリッと目を鋭くさせて続ける。
「ああいう輩は常に機会を伺ってます。
油断したら喰われる。
全員で対応する方が安全です。」
彼の言うことはもっともだ。
わざわざ私1人が地下室に通うメリットは本来なら無い。
しかし、個人的なメリットならあるのだ。
私は首を横に振った。
『いや、彼と約束をした。
私が彼から情報を引き出せる、と思う。
とりあえず明日も通う。』
約束をした、というのは嘘だった。
私は前回、彼をスカウトしようとはした。
たが、警戒心MAXの彼は、当然それを無視。
結局それから会話は続かなかったのだ。
だが、グルッペン達はそれを知らない。
この頃はまだゾムから何の情報も聞き出せていない時だ。
エーミールの依頼主もまだ誰も把握していない。
だからこそ、私がゾムから
情報を得られるかもしれない、というのは
大きな希望でもあった。
仲間が危険に晒されるのは困るが、
エーミールの安全を守れる手がかりが得られるかもしれない。
自警団の者達は、皆それぞれのリスクとメリットを天秤にかけて唸った。
最終的に、口を開いたのはグルッペンだった。
意を決したように、顔をぐっと歪めて、
彼は重い声を絞り出していた。
「何かあったら、すぐ呼べよ。」
静かに頷いた私は、
そのまま食器を台所まで運んだ。
それから、暫く私はゾムの元に通った。
『こんにちは、ゾム。』
「…………」
『これ、パンとスープ。冷めない内にどうぞ。』
終わり
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サツキ(プロフ) - ひいいん😭何度読み返しても素敵な作品です（ ; ; ）のんびり更新待ってます‼️ (10月25日 3時) (
レス) @page40 id: 59b14c1ff4 (このIDを非表示/違反報告)
ぬ - めちゃめちゃ好きで先が楽しみです！！更新楽しみに待ってます！ (8月17日 15時) (レス) @page40 id: c9b27d8eb7 (このIDを非表示/違反報告)
亜鉛2℃(プロフ) - 更新ありがとうございます。お待ちしておりました。とても面白くて文に厚みがあって素敵です。これからも楽しみに待っております。 (2023年4月5日 15時) (レス) id: 7a92f90d7d (このIDを非表示/違反報告)
ユズ(プロフ) - 更新ありがとうございます〜!!!!!まじでずっと待ってました!!!!これからも頑張ってください!!!鬼面白いです!!!! (2023年3月29日 20時) (レス) @page39 id: 05561d72b4 (このIDを非表示/違反報告)
六時の虹(プロフ) - 更新ありがとうございます！この小説めっちゃ面白いです！ (2023年3月29日 10時) (レス) @page39 id: 6ed7129851 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：そね
| 作成日時：2020年6月8日 23時
