･ ページ8
シャワーを借りた。
バーの奥は部屋のようになっていて、そこにシャワーもあったのだ。
シャワー室への道は、以前「黒霧」と呼ばれていた瞬間移動の個性の人が案内してくれた。
正確にいうとワープゲートの個性らしいけど、まあいいや。
もしかして、私がここに来ること知ってたのかな。
それともただの偶然？
…なーんて、偶然なわけないか。
脱衣所には私のサイズにピッタリな下着や、白いワンピースが用意されていたんだもの。
私の後に弔がシャワーを浴び、二人とも髪を乾かしている最中、個性について詳しく説明しておかなければならない事があることを思い出した。
『私、週に1度、輸血パック1つ分の血を飲まなきゃ空腹で自我失くすから気をつけて』
ちなみに今飲んでる赤い液体はトマトジュース。
黒霧さんが出してくれた。
弔はウイスキーを飲んでる。
こういうのを見ると大人なんだなーって。
なんか不思議な感じ。
「そこはちゃんと吸血鬼なんだ」
『うん。太陽も十字架も平気だけど、これだけは本に書かれた吸血鬼と同じ。』
「じゃあ、心臓に杭を刺されたら死ぬの？」
『死なないよ。杭じゃ』
そういって、私が飲みきって空になったグラスを弔に渡した。
グラスつかないように上げていた彼の人差し指を抑えつけながら。
すこしのラグの後、崩れ落ちるグラス。
『こうしなきゃ』
私の心臓を一瞬で、粉々に、バラバラに、この世に残らないように、塵にしなきゃ。
そしたら私は死ぬ。
『私を殺せるのは弔だけ』
やっと見つけた。
ずっと探してた。
どこにいても消えることのない疎外感から逃れるために。
ひとりぼっちじゃなくなるように。
人間に、なるために。
なくしたピースを探し求めていた。
嬉しくて嬉しくて、つい笑みが溢れる。
「お前、笑うと綺麗だな」
『えへへ、酔ってる？』
「酔うほど飲んでねえよ」
グラスの中の氷が音を立てた。
結構飲んでたような気もするけど、案外お酒に強いんだ。
『お母さんに似たのかな』
「へえ、美人なんだ」
記憶を掠めた、亜麻色の髪の色。
懐かしい懐かしいあの人の色。
『私が壊しちゃったけどね』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 153人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あかね - 私の夢主の名前が紅月なので、私は紅月紅月 になってとても驚きましたw (2020年9月27日 21時) (
レス) id: bb192a1a19 (このIDを非表示/違反報告)
通りすがりの少女 - 読んでてすごく面白いと思いました。これからもがんばってください！ (2019年8月6日 2時) (レス) id: e0a9634d23 (このIDを非表示/違反報告)
のえたん(プロフ) - 幸哉さん» コメントありがとうございます！甘い展開というよりかはストーリーメインなので、これからも楽しんで貰えたら嬉しいです！ (2019年5月9日 22時) (レス) id: ee02f97984 (このIDを非表示/違反報告)
幸哉(プロフ) - あれ…？死柄木推しじゃないのになぜか読み進めてしまいます…！ (2019年5月9日 22時) (レス) id: 809d850eff (このIDを非表示/違反報告)
のえたん(プロフ) - akuaさん» ありがとうございます。とても励みになりました(^^) (2019年5月9日 15時) (レス) id: ee02f97984 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：のえたん x他1人 | 作成日時：2018年10月28日 15時
