第三十七話 ページ37
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「うわあ…」
デートの日。3日前から天気予報で地味に嫌な予感はしていたものの、大雨。
一旦テレビを付けてニュースを見る事に。
『おはようございます。11月8日、金曜日の全国の天気予報です。今日は全国的に大雨が降り、翌日の朝まで生憎のお天気となりそうです。』
「1日雨かあ」
県外までブラブラ歩きながら観光する予定だったけど、これは傘をさしてもあんまり意味なさそうだな。
残念、せっかく休みがあったのに。
落ち込んでいると着信が鳴った。
侑君からだ。
「おはよおAちゃん、外やばない⁇」
「やばい。どうしよう、侑君家行っていい⁇」
「あーあかんあかん俺がそっち行くわ‼ こんな大雨の中出歩かせれへん、行ってええ⁇」
「ありがとう全然大丈夫だよ」
優男。男前。
今から用意してお昼ご飯の買い出ししてから行くから、２時間後くらいには着くって言ってるし、私も着替えて部屋の片付けでもしておこう。
「お邪魔しまーす」
愛想のいい声と一緒に、侑君は靴を脱いでもう何度か来た事のある私の部屋に上がった。
一緒にリビングに向かいながら話す会話といえば「雨最悪だね」とか「楽しみにしてたのに」とか潰れた予定をお互いに残念がった。
それでも一緒にいれば場所なんて関係ない。
部屋で出来る事なんて限られているけど、一緒に映画見たり、テレビゲームをしたり、お昼ご飯作ったり、コーヒー1つで盛り上がれる。
笑顔が絶えない。楽しいは正義だ。
「てか前から思ってたけどAちゃんってめっちゃ消毒するよな」
ちょうど掌にアルコール消毒を擦り込んでいた所に侑君が不思議そうに言った。
「あ、ああこれ。癖で」
「ふーん、まあええこっちゃ」
内心ドキッとした。
慣れって怖い。臣と付き合っている間、当たり前過ぎて別れて引っ越してからも手洗いうがい、こまめな消毒をしないと違和感があって気が付けば買っていた。
今だって無意識に消毒してたし。
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作者名：林檎 | 作成日時：2020年6月19日 16時
