第十六話 ページ16
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昨日もう何度目かも分からない臣と別れた。
翌朝臣が家を出た後の時間に家に戻って、自分の私物を1つ残らずバッグに詰め込んで、ポストに合鍵を入れてもう戻らないと決めた部屋にさよならを告げた。
そしてその足で不動産に行って、賃貸のアパートを契約した。
そういえば、一人暮らしって初めてだな。
これからはこの部屋を自由に使う事ができるのか。
仕事から帰ってそのままベッドに倒れ込んでも文句を言われないし、毎日掃除しなくてもいい、好きなようにしていいんだ。
「おはよーさん」
「おはよ黒尾
え、なに。人の顔ジッと見て」
「なんか雰囲気変わったなと思って、あ、髪切った⁇」
鋭いのか鋭くないのか。
「切ってない。でも別れた」
「またかよーーーーーほんと何回別れるの君達‼」
聞き飽きたと言わんばかりにケラケラ笑う。
いつもならここで私は「うるさいな」と言っていた。
でも
「大丈夫もうこれで最後だから」
そう言って笑い返すと、黒尾の笑い声がピタッと止まった。
いやそこは笑ってよ、なに急に真剣な顔してんの。
「吹っ切れたんですか、Aサン」
「うん、今日朝一で私物回収してアパートも借りてきた」
「へぇー…じゃあ今夜飲みにいくか‼」
「は⁇」
「嫌な事は飲んで忘れようぜ」と背中をポンっと押された。
黒尾も黒尾で気を遣ってくれているのだろう。
確かに飲みたい気分だな、久し振りにパーッとハイボールでも飲みたい。
少し考えた後、「行こっか」と答えた。
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作者名:林檎 | 作成日時:2020年6月19日 16時