第四十一話 ページ41
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「Aちゃん⁇」
懐かしい声に名前を呼ばれて振り向くと、そこには高校の時の同級生である古森君がコーヒーを片手に立っていた。
「うわ! やっぱAちゃんじゃん‼ 久し振りだな〜此処座ってい⁇」
「古森君‼ ほんとに久しぶりだね、いいよどうぞどうぞ」
そう言って隣の椅子を少し引いてやると、屈託のない笑顔を見せながら隣に座った。
「今もバレーやってるんだってね」
「まあな! それにしてもいつぶりだよまじで〜高校の頃は毎日顔あわせてたのにな!」
私と古森君は3年間同じクラスだった、その上臣と付き合ってたっていうのもあって結構仲がよかった。
まあ喧嘩する度に私の相談相手というか、愚痴を聞く相手にさせてしまってたんだけど。
今思えばいい迷惑だったなーと、心の中だけで反省した。
古森君を見てるとやはり思い出してしまうのは2年以上前に別れた嘗ての恋人、佐久早聖臣の事だ。
元気にしてるのかな、今頃何してるんだろ。
あの夏祭り以降、一切連絡が来なかった。着信拒否にしてたっていうのもあるけど。
侑君の言葉に流石に諦めたんだろうか、もう私の事は忘れたのかな。
いや、もうどうでもいいか。
「今佐久早の事考えてたろ⁇」
危な、もう少しでコーヒー吹いてた。
見事に私の心を見透かした古森君は「当たり⁇」と面白そうに笑ってる。
そして私の返しも待たずにまた話し出した。
「まあAちゃんからしたら佐久早はもう思い出なんだろうけどさ! 今は宮と付き合ってんだろ⁇ どう? うまくいってんの⁇」
「…おかげさまで毎日幸せですよ」
「それはそれは、でもなんやかんや言って、やっぱりAちゃんには佐久早で、佐久早にはAちゃんだと思ってたんだけどな〜」
なにそれ、意味わかんない。
「はははっ、まあ喧嘩と別れる回数は他のカップルと比べたら比にならなかったけど‼」
古森君。君ちょっと性格悪くなった⁇
皮肉が凄いよ。
てかそんなの、6年も長く付き合ってたからでしょ。
あれだけ長く付き合ってたら、そりゃなんやかんや言ってもあの2人だよねって言われても仕方がない。
実際かなり言われてきたし。
「まあそれもあるけどさー」
それ以外考えられない。
そうに違いない。
「あいつ想像以上に彼氏してたじゃん」
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作者名:林檎 | 作成日時:2020年6月19日 16時