第二十六話 ページ26
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やってきました火曜日。
鏡の前で数年前に買った浴衣にようやく袖を通す。
うん、やっぱ可愛いこの浴衣。
見せる相手は変わってしまったけど、もうそれは割り切ろう。
待ち合わせの場所に向かう午後4時半前。
分かってはいたけどやっぱり人が多い。
前を向いて歩くと言うより、上を向いて歩いてる。
�狄佑笋个い�‼ Aちゃん大丈夫⁇��
そう心配の連絡を入れてくれた侑君に笑みが溢れた。
�狢臂翩�! もうちょっとで待ち合わせ場所着くよ��
「ちょ、まってくれ」
「ん⁇」
待ち合わせ場所に着くと、そこには侑君が既にいた。
その第一声のまま、掌を突き出される。
もう片方の手は自分の顔を隠すように覆った。
「浴衣はずるい…」
絞り出すように口に出した侑君の耳は赤い。
「似合う⁇」
「おん…」
ゆっくりと顔から手を離してジッと私を眺める侑君の顔はやっぱり赤くて、つい「侑君可愛い」って言ってしまった。
すると拗ねたような表情に変えて私の手を握った。
「うるさ‼ もう早よ行くで‼ イカ焼き食べるって決めてんねん‼」
浴衣着てきてよかったな。
黒尾。私の浴衣は需要あったよ残念だったね。
まだ会ってすぐなのに、もう既に楽しい。
今日は良い1日になりそう。
私はそう信じて疑わなかった。
「Aちゃん浴衣やし俺もなんか祭りっぽいやつ付けたいな〜」
「水ヨーヨーとか⁇」
「昔サム、俺の双子の傍に投げようとしたら全く知らんおっちゃんに当たってしもてめっちゃ怒られた思い出あるわ」
「やんちゃすぎるでしょ、あ。じゃああれは⁇」
そう言って指を指したお店はキャラクターもののお面屋さん。
「ええやん祭りっぽい‼」と侑君も私の提案に乗った。
「俺これにしよ、可愛い⁇」
「可愛い可愛い…っふふ、似合ってる」
侑君が選んだのは誰でも知ってる人気キャラクターうさぎのお面。
がたいの良いイケメンの頭に可愛すぎるウサギが乗ってるその様が、あまりにもシュールすぎてツボに入ってしまった。
そんな私を見て侑君も笑ってる。
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作者名：林檎 | 作成日時：2020年6月19日 16時
