第二十三話 ページ23
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別れてから何度もAに電話をかけた。
しかし何度かけ直しても出ない。
お前この時間まかない食ってるだろ、昨日もあの時間は絶対仕事から帰ってる。
いつもなら2.3回ほどかけ直したら出ていたAが頑なに出ようとしない。
終わりにしようと言ったあいつの言葉の重みが身に染みる。
でも俺はそう簡単にあいつを諦める事が出来ない。
「宮さん今日ご機嫌ですね‼」
ロッカールームで鼻歌交じりに上機嫌な宮に日向が言った。
「ふっふ、まあな〜明日夏祭り行くねん」
「いいっすね‼ もしかして彼女さんですか⁉」
「え‼ ツムツム彼女出来たの⁉ 誰⁉ どんな子⁉ 可愛い⁉」
「早い早いぼっくんいつもゆうてるけど質問の答え1個も返ってきてへんのに質問攻めやめえ‼」
うるせえ。
さっさと着替えて体育館に向かおう。
なによりコート外で宮の顔を見るとどうしても苛立ってしまう。
「まあ今頑張ってるとこやな、その日が来たらちゃんと話すわ」
「うおーーっ‼ 早く聞きたいです宮さんの報告‼」
…今、本当だったら最悪な発想に至った。
祭りに行く相手は、宮が頑張ってる相手は誰だ⁇
まさかとは思うけどAじゃないだろうな⁇
「臣さんとこは行かないんですか⁇」
このチビ妖怪。
話を振ってくんじゃねえ。
クソ。なんて返したらいいんだよ別れたなんて言ったらお前ら絶対うるせえだろ。
めんどくせえ。それに言いたくねえ。
「まあまあ翔陽君。臣君人混み嫌いやんか聞くまでもあれへんやろ」
皮肉にも宮がフォローに入った。
するとあっさり納得して、日向は着替えを終えて木兎(さん)とロッカールームを出ていった。
こいつと2人きりとか耐えられねえんだけど。
俺も早く体育館に向かおうとロッカーを閉めた。
「いつまで黙ってるつもりなん⁇」
その言葉に動きが止まる。
振り返ると、意味を含んだ笑みを浮かべる宮と目が合う。
お前やっぱり…
「怖い顔やめてや〜まあ俺が原因で今回別れてしもたもんな2人」
どこまで知ってんだよお前。
全部Aから聞いてると思わせるその言いようにまた腹が立つ。
「どーゆーつもりだよ。」
あからさまに苛立ちの乗った声で宮に言った。
どーゆーつもりでAと関わってるのかという意味で。
宮はその質問に表情を変えずに答える。
「臣君と同じやで」
「まあでも俺は臣君とは違って傷つけるような事はせんけどな。」と煽り付きで。
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作者名:林檎 | 作成日時:2020年6月19日 16時