王の器_____ ページ2
「ありがとうトリシェ」
机に置かれたティーカップを眺めながら自身の世話を焼いてくれるトリシェに礼を云う。
「否、礼を云われる程ではありません
御身はマスターの物なのですから」
手を胸に当てながら、
彼女はトリシェ。鉄をその身に宿りし鉄の上位精霊にして私にお世話係兼唯一の配下
何千年もの間私についてきてくれている。
部下だから上司を慕うのは当たり前かもしれないけれど、これはもはや崇拝に近い。もっと気軽に接してほしいものだ。
そう思いながら、分かり易く溜息をついた私はA
元々、亜人も魔人も居ない平和な世界で生きて、死んで、創造主ヴェルダナーヴァに召喚され『マギ』の使命を承った異世界人
マギとは、王の選定者。力と権力、その度量を持つ『王の器』を選定し、導く者を示す呼び名。
マギは一部からは神と崇められた。信仰の対象とも呼べる崇高な存在であった。
まぁ、千年前に人間に騙され、囚われ、命からがら逃げ
人間の醜さに絶望してこの大峡谷の谷に籠もった今の私にとっては笑い話だ。
「ハァ...」
「！？如何いたしましたかマスター？くそっ、誰だ！マスターにため息を付かせたのは！」
「大丈夫だからトリシェ、少し昔の事を思い出しただけだから」
思わず出てしまったため息に反省しながら、トリシェをなだめる。
何時もは冷静でクールだけれど、私のことになるとこう、口が悪くなったり荒ぶってしまう。当に残念美人ね
そんな残念美人のトリシェはというと、マスターの外敵は私が排除するとか何とか言って手を前に突き出し、パンチを繰り返していた。
「トリシェ、そんなに暴れていると家が壊れｔ＿＿＿」
そう言い掛った時、脳内に警報が鳴り響いた。
《緊急ジタイ発生！緊急ジタイ発生！！！緊急ジタイ発生！！緊急ジタイ発生！！》
これは、世界の声？いや、
《暴風竜ヴェルドラの消失ヲ確認！暴風竜ヴェルドラの消失ヲ確認！》
「！？」
《それと同時に同等のエネルギー反応ヲ感知！それと同時に同等のエネルギー反応ヲ感知！》
驚く暇も与えず、
《そノエネルギー反応かラ、過去最大級の王の器ヲ感知！そノエネルギー反応かラ、過去最大級の王の器ヲ感知！》
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作者名：姉系チート | 作者ホームページ：
作成日時：2019年8月25日 15時
