【歌い手】フラジール【そらる】【luz】

13話 デート前のデート ページ15

『……日向くん』

る「んー？」

『これはなに？』


水色のストライプのワンピースに黒いリボンが付けられた何とも少女チックな格好である

カンカン帽とさらに夏さが出て季節は次に進んだ


る「うんっ、バッチリだね！」

『いやいや、″バッチリだね！″じゃなくて！』


今現在、このふたりはAのアシスタントに店を任せて街に出かけてデート服選びの真っ最中である


る「ふふ、デート浮かれすぎかなぁっ！？ww」

『そんなふうに言ってない！！』


おかしな組み合わせに誰もが首を傾げ無いのがこの世界

ただのイチャイチャしてるクソリア充としか通行人の女子高生や男子高生は見ていない


『……〜♪』


Aがここまで愉快なのは久々、あるいは初めてとも呼べることだ

何故ここまで機嫌がいいのかは知らないが、るすは何かを察して洒落た街まで連れてきた

春なはずなのに夏の気温

こんなキチガイみたいな地球温暖化に抗うべく服選びをしていた


る「そらるさんはねぇ、多分Aちゃんのこと″可愛い″しか知らないから、…えっとー」

『大人っぽく見せるとかっ！？』

る「それはない。確かにスタイルいいけど、身長がアウト」

『それ言ったらなんにもなんないよ、るすくん』

る「次言ったらあの着ぐるみ着てねﾆｺｯ」


言い合いの末、冒頭に戻る


『じゃあこれで行く』

る「ん、じゃあ僕はそろそろ帰ろうかな」


帰ろとした間際、Aはるすの手首を掴んだ



『ねぇなんでろんさんって分かってたの？』



新品の服を着たAにるすは口を開かざる負えなかった

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