ちねちねしてるだけ。 ページ12
しげは、いきなりばーって喋って、いきなりすんって静かになる。
これ言ったのともだっけ。ほかのメンバーさんだっけ。
とりあえず奇行が目立つのは、どうしようもない事実だよね。
さっきまでぺらぺら喋ってたかと思えば、すんっと静かになった。
何しているのかと思えば、割りばしの袋でこよりを作っている。
「ちねちねするの好きやねん」
「わからなくもない」
ちねちねしてるしげを見ているのも飽きないけれど、私の創作意欲も刺激され、紙ナプキンで折り紙を始める。
「器用やなぁ」
「しげ、こういうの苦手そう」
「七色しげちゃんのなかには、折り紙上手なしげちゃんはおらんのよ」
無言の時間が流れる。
無言だけど、不思議と心地はよかった。
その沈黙を破ったのは、しげの一言。
「そっちいってもええ？」
「え、いいけど」
しげが座っていたのは椅子の方。私が座っていたのはソファの方。
ソファに座りかったのかな？と思って立ち上がったら、
「そぉじゃなくって」
傍らに座ったしげがぐっと腕をつかんで私を引き戻した。
「隣の方が落ち着くねん」
「お、おぅ…」
隣に来られるとね？
心臓の鼓動がね？
貴方に伝わりそうでね？
「あぁ防護服きてくりゃよかった…」
「A、俺のこと嫌いなん？」
「ごめんごめんそうじゃなくて」
ぴとーっと横に引っ付いてくるしげちゃん。
「なーんか落ち着くわぁ」
「そ、そか」
目を閉じてみる。
暴れ馬だった心臓が、ふわっと甘い香りに包まれて、徐々に穏やかになっていく。
「しげは落ち着くなぁ」
「照れるやんけ」
シャイ岡だった。
「でもね。私ほんとは結構人見知りなんだ」
「…」
沈黙が続いたので、隣を見やると、しげが目をかっぴらいていた。
「初対面に友達なりたいゆうて来たくせにぃ」
「いや、私からしたら初対面ではないからね貴方は」
…二重の意味で。
「まぁ、俺も内弁慶やしなぁ。ドラマん時とかがっつり猫被ってた現場も少なくないし」
「私の場合、人見知りっていうか…なんか疲れちゃって」
「ん。特に大学生なり立てとかきつそうやんな。慣れないノリとか苦手なノリもあるやろ」
「昔からギターやってるからって思って軽音系のサークルに行ってみたんだけど、苦手だぁ」
「軽音かぁ。ぱりぴ感やばそうやんな」
「男の人がね…ちゃらいんだわ…」
氷が溶けて、すっかり薄くなった特濃ぶどうジュースをすすった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 377人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ジャニーズWEST」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ひめりんご | 作成日時：2020年3月24日 0時
